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車IT化の衝撃
自動車LANの競争(5:将来)
ボディ系、制御系、エアバック系、マルチメディア系、の4つのLANが動き、その上層で中央システムがこれらを統括し、下層には簡素なシステムが付随する、という流れが始まっている。
この仕組みが完成すると、車全体の統括管理する中央システムの技術が極めて重要になる。技術競争は激化するだろう。
しかし、この競争は、要素技術での先進性を競うものとは異なる。現在動いているシステムを活かしながら、簡素な構造でシステムが動く仕組みが求められるからだ。そのため、中央システムより前に、各LANにおける標準形成の競争が始まる。その後に、これらの標準に適合する、中央の統括システム構築競争に移ることになろう。
この場合、1つでも非標準LANがあると、中央の統括システムを作っても、構造は複雑化する。複雑化すればメジャーにはなれない。ということは、標準LANを揃えている企業が優位に立つことを意味する。
現時点では、ボディ系、制御系、エアバック系、情報系、の4つのLANすべてで、欧州勢が先行している。
一方、日本企業は、この流れのなかで、標準化志向とは言い難い。今のままなら、日本企業は不利である。
・・・このような議論を続けると、日本企業が不利な点を並べて何の意味があるのか、と怒り出す人がいる。気持ちはわかるが、この議論こそが、自動車産業の将来像に繋がるものであり、避けて通れない問題である。
その背景認識が極めて重要である。
車がエンジンを核とした無数の部品の集合体から、規格された燃料電池システムやモーター駆動モジュール等のアセンブリ商品に変わり始めている。
このことは、大きさは違うが、車がパソコンのような事業に変貌する可能性を示唆している。
もしも、パソコン産業同様の競争に陥ると、どうなるか。
パソコン産業での競争は、ハードディスクやディスプレーといったハード部品の品質や機能ではなかった。基本機能訴求の焦点は、OSとプロセッサだ。しかも、プロセッサの主たる役割とは、OSが機能発揮しやすいような設計変更と高機能化である。事実上、OSが産業の帰趨を決める地位にのぼりつめたのである。
同じことが車でもおきるなら、LAN標準化が進んで、基本システムが統一されることになる。そして、技術の流れを決めるのは、システムソフトになる。
ハードはモジュール化し、車全体としての商品競争と、モジュール産業内での競争は分離される。つまり、燃料電池システムやモーター駆動モジュールのトップ企業は、車のトップメーカーである必要はなくなる。
これが進めば、過大で重複が目立つ設計開発がスリム化するし、モジュール大量生産によるコスト低下が期待できるから、自動車価格を大幅に下げることができるだろう。
デルコンピュータ型の車メーカーが登場する可能性もある。
もしも、このようなことがおきれば、業界大変動である。
LAN競争は、こうした変化の端緒といえよう。
従って、自動車産業の構造がパソコン型に移行すると予想するなら、自社規格をできる限り開放し、LAN標準化で先鞭をつける必要があろう。
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