2003年6月9日、米国国防省が2008年頃にIPv6に全面移行する計画であると発表した。
その動きは速い。10月1日には、現在開発中のGIG
(Global Information Grid)関係は、すべてIPv6適合とするようだ。6月中には、変更計画の骨子を作成するつもりである。
(http://www.defenselink.mil/news/Jun2003/d20030609nii.pdf)
| 年度 |
連邦政府 IT予算合計 |
内軍事関係 (国防省/陸/空/海軍) |
| 2002 |
$50,441 |
$24,092 |
| 2003 |
$57,395 |
$27,039 |
| 2004 |
$59,370 |
$27,900 |
|
|
単位:百万ドル |
IPv6では日本が先を行こうと、官民あげての開発が進んでいるが、米国はほとんど動かなかった。民間にとっては、コストメリットが薄いから、当然だろう。
ところが、米国は軍需市場で一気に進める計画を打ち出してきたのである。IPv6では、遅れているとされた米国のIT産業は、政府の「喝」が入り、一気に日本を追いぬくことになりそうだ。
インターネットがもともとは軍事技術であることはよく知られているし、CALSのようなネットワーク型取引も軍需産業から出てきたコンセプトである。米国が情報技術で先行してきた歴史的背景には、先端応用を切り拓いてきた軍事技術への膨大な資金投入がある。
| 分野 |
主要企業 |
受注額 |
大手軍事 6社 |
Lockheed Martin
Northrop Grumman
Boeing
Raytheon
General Dynamics
BAE Systems | $13,676 |
通信 2社 |
WorldCom
AT&T |
$1,015 |
コンピュータ 3社 |
Dell Computer
IBM
Hewlett Packard |
$1,161 |
システム構築 2社 |
Science Applications International
Computer Sciences |
$3,847 |
ブッシュ政権は、80年代型の、軍事産業による技術先導政策に回帰しつつあると言えそうだ。
実際、表に示すように、政府のIT予算でも、防衛志向がはっきり表れている。2003年度の米国政府全体のIT支出予算は574億ドルと巨大だが、このうち半分若が軍事用途なのだ。この巨額な資金が民間セクターに流れ込む。
(http://www.whitehouse.gov/omb/budget/fy2004/sheets/itspending.xls)
Washington Technologyによる政府調達契約額ランキングを見ると、こうした資金の多くは、航空/軍事企に流れる。抜き出してみたのが表だが、軍事大手企業の受注額は跳び抜けていることがわかる。
(http://www.washingtontechnology.com/top-100/2003/)
いまや軍事産業は、ITシステムインテグレーターに変貌しつつあるといえよう。
この産業を中心として、IPv6移行が特急体制で進むことになる。
圧倒的な技術力を維持するため、軍事産業による技術先行体制を構築するつもりなのである。