Linuxが浸透し易い分野を述べたが、いずれも力のある企業の市場である。
→ 「2: 次世代サーバに向けて」、
「3: プロコン代替へ」、
「4: 専用システムの登場」
それでは、資金余力が小さく、IT技術者も少ない、ベンチャーや小企業のサーバ分野はどうなのだろう ?
・・・日本では、IT産業以外の企業ではLinuxはほとんど見かけないのである。
本来は、「無償」であるLinuxに向いた領域といえるのだが、さっぱり浸透しないのである。
ということは、政府のLinux支援が一番必要な分野といえそうだ。しかし、手付かずのまま放置されている。
浸透しない理由は、コンピュータベンダーやシステム構築サービス企業が注力しない点があげられる。手間がかかる割に、激安ハードと安価なサービスを要求されるから、魅力が薄いのである。
しかし、一番の原因は、肝心のベンチャー/小企業側の保守的姿勢だと思う。
そもそも、マネジメントが社内サーバを構築して生産性向上を図ろうと考えていないのだ。しかも、社内サーバの必要性を感じても、コストパフォーマンスを考えて独自システムを構築しようとは考えない。他社の物真似に走る傾向があるのだ。
なかには、見栄で、最新システムを入れようと考える経営者さえいる。
このため、ほとんどの場合
(感覚では8割方)、有償のWindowsのシステムが入る。無償のLinuxなど検討対象にさえならないのが普通だ。
本来は、この市場はLinuxばかりになってもおかしくない。ただでさえ少ない資金を有効に活用したいなら、有償ソフトなど購入できる筈がないからだ。
(従って、資金効率を考えた経営を進めている企業は、いつまでも社内サーバを構築できない状態ともいえる。)
| 無償ソフト (オープンソース) |
| OS |
Linux |
| ウエブサーバ |
Apache |
| プロキシサーバ |
Squid |
| ファイアウォール |
iptables |
| メールサーバ |
Sendmail |
| アプリケーションサーバ |
Tomcat |
| ファイル/プリントサーバ |
Samba |
| データベース |
PostgreSQL/MySQL |
資金が欠乏している企業にとっては、Windowsは高嶺の花である。
MS Internet Information Server(ウエブ)、MS SQL Server(データベース)、MS Exchange Server(グループウエア/メール)といったソフトが必要であるし、MS Visual Studio(開発環境)も揃えないと独自システムは作れない。大企業にとっては、たいした金額と感じないが、ベンチャー/小企業にとって、必要最小限のソフトを揃える費用負担だけでも、重荷なのである。
しかも、数年毎にバージョンアップになる。一回きりの費用では終わらない。
ところが、Linuxを使えば、無償のソフトですべて対応できるのだ。
しかも、Linuxの場合はハードを選ばない。
このことは、思った以上にコストに効いてくる。
Windowsはバージョンアップにより、機能も高度化しで使い易くなるが、搭載可能なハード(CPU)が限定されてしまう。一方、Linuxは、古くて力が弱いコンピュータ・ハードにも対応する。つまり、Linuxなら中古マシーンを利用できるのだ。
もし中古マシーンを無料で入手できれば、ほぼ人件費だけでシステムを作ることができることになる。大企業から、古いコンピュータが大量に廃棄されている状況を考えれば、ベンチャー/小企業にとっては、願っても無いビジネス環境にある。
ベンチャー/小企業は、このチャンスをとらえて、Linux導入へと姿勢転換すべきだろう。
と言っても、このような話しに乗って、自社でウエブ/メールサーバを立ち上げるなら、経営者としては失格である。
ウエブやメールのアウトソーシング・サービス価格を見るとよい。毎月3,000円で、ウエブホスティングと大量のメールアカウントが提供されているのだ。しかも、OSのセキュリティ対策を自分達で対応していたら大変な労力になるし、ウイルス対応の出費も少額とは言い難い。
従って、たとえハードとソフトが無料で入手できても、自社でウエブ/メールサーバの構築/メンテナンス体制を敷くのは、コンピュータマニアの趣味的業務と言わざるを得まい。意味の薄い業務は外部に委託して、内部の貴重な資源で競争力向上を図るのが本筋である。
本当に自社の力を強くするためのシステムとは何かを考え抜いた上でLinux導入に進まない限り、成功はおぼつかないのである。
それは、簡単ではない。しかし、成功すれば、見返りは大きい。