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デジタルメディアの進展
アニメ産業は衰退する
2004.4.5
2003年は、日本人だけが知らない「日本アニメ」の実力(1)・・・といった話しが、至るところで語られた。
雑誌ネタとしては最高のものだといえそうだ。
アニメは、デジタル時代の新分野を切り拓くイメージがある上、日本文化が世界を席巻していることを聞かされれば、ほとんどの人は嬉しくなる。
こんな状態で、アニメ産業の体質に関して批判するには、勇気がいる。
世界で放映されるアニメの過半を日本製が占めていることを面白く思わない輩がいる、と爪弾きされかねないからだ。
陰口程度なら我慢できるが、下手をすれば、食べられなくなりかねないのが現実である。
(もちろん、こんなことは、日本だけの話だが。)
しかし、ついに、「中央公論」2004年4月号に、本音の論文が登場した。
岸本周平氏(経済産業研究所コンサルティングフェロー)は、アニメ産業はもてはやされているが、現実を見れば、程遠い、と主張した。創造力の源であるクリエーターは、流通インフラを取り仕切る大資本に収奪されており、今のままなら、アニメ産業は衰退すると、手厳しい。(2)
論調はきついが、正しくその通りである。
この業界では、昔から、著作権に、たいした意味はないのである。
このような状態が続くなら、コンテンツ産業が発展できるとは思えない。
最大の問題は、下請け企業やクリエーターの資金欠乏状況である。
資金繰りが苦しいから、生き延びるために、著作権を安価に販売するしか道が無い。実質的に、著作権で飛躍する道は閉ざされているのである。
これは誇張表現ではない。なにせ、テレビ局側が30分番組制作費として渡すのが1000万円前後なのである。
これでクリエーターが食べていける訳があるまい。
もっとも、流通インフラを支配する側(5大テレビ放送ネットワーク)は、たったこれだけの支出だけで、膨大な広告費を稼げるのだから、これほど美味しい商売はなかろう。しかも、普通は、窓口権と呼ばれる、2次放映権も獲得するから、儲けはさらに膨らむ。
そこで、岸本氏は、「独禁法適応」と「資金調達の仕組み」が必要、との提言を行った。
正論だ。
しかし、提言受け入れは、望み薄である。
デジタル放送の仕組みつくりではっきりしたように、政府は流通インフラは開放しない方針だ。換言すれば、新産業構造を作るのではなく、安定したインフラ作りを重視したのである。つまり、嵩む先行インフラ投資を行わせるために、既得権益からの高収益を容認したのである。
従って、「独禁法適応」を進めても、この枠組みがある限り、中途半端なものでしかない。
一方、資金調達の仕組みつくりの動きは、一部だが、発生している。しかし、インフラ側が自ら製作も行ったりするのだから、優れた作品であっても採用される保証などない。
通常のリスクとは違い、コントロールできないから、投資家にとっては魅力は薄い、と言わざるを得まい。
となると、日本のアニメ産業は衰退することになる。
--- 参照 ---
(1)
週刊エコノミスト 2003年3月18日号特集「米アカデミー賞取り 日本アニメ産業のスゴさ」
(2) 岸本周平「このままでは日本アニメは衰退する」中央公論 2004年4月号
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