2004年4月5日、IT戦略本部に「評価専門調査会中間報告」が提出された。
(1)
Plan-Do-Check-Act のサイクルを確立する第一歩が踏み出されたことになる。マネジメントスタイルは民間並になったようだ。
例として、「個人事業主からみた電子申請の普及」が絵入りで評価されている。
衆知の、使う気にならない電子申請を取上げた。
といっても、知らない人もいるかもしれないから、実態を説明しておこう。
電子政府化へ進むことが義務付けられているため、日本全国、申請・届出手続のオンライン化は進んでいる。
しかし、個人事業主から見れば、何の意味もない動きである。と言うより、面倒なだけで、ほとんどメリットなど無い。
添付書類を別途郵送するよう要求されるからだ。
電子政府とは見かけだけで、実態は旧態依然とした仕組みが続いている。
手続き簡素化などほとんど夢物語だ。
こんな調子では、無駄な手続きが廃止されることもあるまい。
「評価専門調査会中間報告」によれば、この状態を、PDCAサイクルを取り入れることで変えようと言うのである。
例えば、国の行政担当官が「申請・届出の97%を電子化」する。(Do)
ところが、個人事業主は、面倒な実態に直面し、「どんな良いことがあるのかわからない」。さらには、「使い方もわからない。」
この状況を見て、評価専門委員会が、「国民が便利に感じるために、見直しも含む取り組みが必要」であり、「具体的な嬉しさを明示」すべきだ、と指摘することになる。(Check)
正論ではある。
しかし、こんな、誰でもわかることさえ、PDCAをサイクルを回さなければ、変えられないのが政府の仕組みだ。
従って、効率的仕組みを作るつもりなら、ほとんど無限にPDCAサイクルを繰り返すしかない。絶望的である。
この報告は、この点だけを見てわかるように、楽観主義が貫かれている。
圧巻は、まだ、「2005年に世界最先端」との目標は夢ではない、と主張する姿勢だ。
評価の根幹は、インターネット回線の普及率ではなく、先進的なインターネット利用状況の筈である。まずは、日本のITは、生産性向上や生活の質の向上に繋がっているのか、はっきり語るべきだ。
この観点で見れば、日本のインターネットのレベルは相当低い。
| 電子政府10傑 |
| 1 |
米 |
| 2 |
スエーデン |
| 3 |
オーストラリア |
| 4 |
デンマーク |
| 5 |
英 |
| 6 |
カナダ |
| 7 |
ノルウエー |
| 8 |
スイス |
| 9 |
独 |
| 10 |
フィンランド |
実際、「遅れる利活用」として、日本が遅れている点が報告書に記載されている。
・電子政府化の国連ランキングは世界第18位
・電子商取引率は対消費者取引で米国3.5%に対し、日本は1.0%
・ソフトウエアの輸出入バランスが大幅な入超
この状態から、どうして「2005年に世界最先端」が実現できるのだろうか。さっぱりわからない。
そもそも、国連レポート
(「The World Public Sector Report 2003: E-government at the Crossroads」(2))を読めば、課題ははっきりしている。
インターネット利用者の2割しか、政府のウエブにアクセスしないのである。たいしたメリットがないからである。
利用者にとって「嬉しさ」を感じさせる方策を生み出すことが、最重要なのである。
要するに、嬉しければ、多少高額でも普及するのである。
インフラばかり作って、利用する人がいない、というのはISDNで経験済みの筈だ。
また同じことを繰り返すつもりなのだろうか。
--- 参照 ---
(1) http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dai24/24siryou1_2.pdf
(2) http://www.un.org/Pubs/whatsnew/e03366.htm