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「情報革命」神話の見方 その1
「情報革命」の浮ついたムードに対する警鐘は貴重だ。
週間東洋経済2000年2月26日号に、「生活は多少便利になるが、”革命”はない」(湯浅誠論説委員)との主張が掲載された。情報ツールが発達しただけでは「革命的変化」は起きまいという論旨である。指摘内容を検討してみよう。
(指摘1)
かつての産業革命が封建制を突き崩して欧米の近代民主革命をもたらしたのとは異なり、「情報革命」は政治革命・改革をもたらしてはいない。-----現時点では、その通りだ。といっても、米国大統領選挙では僅かだが、インターネットによる変化の兆しがあらわれた。ネットが広がると、新しいコミュニティが次々と生まれる。そうなれば、マスコミは指導力を失う。変化は大きい。
(指摘2)
膨大な量の情報を…開示するようになっても、…市民は政治をコントロールする力を得たわけではない。-----まさに、その通りだ。インターネット経済が進めば、一般市民の力は弱体化するかもしれない。知識は情報技術を活用できる人に偏在するから、活用能力が低いままなら、かえって力を失う可能性さえある。
(指摘3)
衛星、コンピュータ、デジタル技術、全世界的なネットワークの進歩によって、「国境が消え」「世界の一体化が進み」「映像が国際問題の解決に寄与する」という見方もあるが、これも疑わしい。-----その通りだ。全世界的なネットワーク構築で問題が解決できる根拠は無い。一方、ネットワークの進歩により、新しい国際問題が発生するのは間違いない。無国籍な自由市場が浸透すると、国家の経済政策は翻弄される。
(指摘4)
現代社会が直面している問題の解消にも、「情報革命」はあまり寄与していない。社会・家庭へのコンピュータの普及などがあっても、基本的問題は未解決である。デジタル技術の発展が、「情報の富者」と「情報の貧者」の間の格差を拡大し、それが「富の格差」につながる危険性も高い。-----まったく、その通り。だからこそ、「情報の富者」を目指して急いでいるのが、今の経済の動きだろう。新しい富の作り方が登場したのだ。これが、「産業革命」を起すことになる。
(指摘5)
情報投資による生産性向上の僅少さ、急ぎすぎたコンピュータ化の効用への疑問、ネット・ビジネスの役割の過大評価。-----どう見るかは、甲論乙駁なので、一概に結論はだせまい。しかし、いくらこうした議論をしても、「産業革命」の本質には迫れまい。「情報通信技術を利用して産業を効率化させる」ことが衝撃を与える訳ではない。情報通信技術が産業の枠組みを揺るがし、産業構造が変わることが革命的変化なのである。
「情報ツールがいくら発展したところで、素晴らしい革命など約束されない」との主張は正論だ。しかし、それと「産業革命」発生は、全く別次元の問題である。