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■■■ 曼荼羅を知る [2019.2.6] ■■■
[11]胎蔵曼荼羅 不空金剛


蘇悉地院と呼ばれる一画がある。文殊院と対称的な位置にあるが、位置付けははっきりしない。主尊の位置に尊像が無い点もあり、対称均整の都合で虚空蔵院の付け足し的に創出されたように映ってしまう。そう見えるのは分かっていても、敢えて一画を割く価値ありとされたのだろう。他の区画に包摂されていない重要な尊像が集められたのかも知れぬ。
小生は、金剛杵で執着心を粉々にする力がある点を重視した区画だと見た。そこで、実在のインド僧不空三藏[705-774年](金剛智の弟子,恵果の師)名の元でもありそうな、不空金剛をこの院の仮代表にした。尚、蘇悉地とは悟りの境地に到達したとの意味らしい。
┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼↓除蓋障院
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┼┼┼┼┼┼┼┼│ ←文殊院
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┼┼┼┼┼┼┼┼│ ←釈迦院
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┼┼┼┼│ ←遍知院
├────┤│  [左隣接]観音院
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┼┼┼┼│ ←中台八葉院
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├────┤│  [右隣接]金剛手院
┼┼┼┼│ ←持明院
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┼┼┼┼┼┼┼┼│ ←虚空蔵院
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┼┼┼┼┼┼┼┼│ ← 蘇悉地院
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┼┼┼↑地蔵院

尊像の配置は横一列8尊。

[R4] 金剛明王
[R3] 金剛将菩薩
[R2] 金剛軍荼利菩薩…軍荼利明王のことだろう。
[R1] 不空金剛(菩薩)
[C0] 尊像不在
[L1] 不空供養宝菩薩
[L2] 孔雀王母菩薩…孔雀明王のことだろう。
[L3] 一髻羅刹…ヒンドゥーの悪鬼である。
[L4] 十一面観自在菩薩/十一面観音菩薩

尚、上部の虚空蔵院の左下隅にある千手千眼観自在菩薩の待尊と思われる以下の2尊像はこちらの区画にもかかっている。描く上での都合という訳もあるまいからなんらかの繋がりがあることを示唆しているのだろう。
[V] 婆蘇仙
[S] 功徳天

(参照 ママ引用でなく改変していますのでご注意のほど) 越智淳仁:「図説・マンダラの基礎知識―密教宇宙の構造と儀礼」大法輪閣 2005年

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