![]() ![]() ■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[13釋草]■■■ 後代の、著者が足を運んで実地検分した上で植物図鑑的に記載された書ならなんとか種の同定ができるが、そうでないとほぼ無理な感じがする。 後漢代の1世紀後半に成立したと目される、佚書「神農本草経」には、植物(草木穀)を中心に石 蟲由来の薬365種が、薬効レベルの上・中・下で分類された上で、薬性(熱・温・平・涼・寒)と薬味(酸・苦・甘・辛・鹹)での評価が記載されていたようだ。文献学的名称判定とは異なり、実地検証によるモノ名称の定義と言ってよいだろう。さらに、薬学的には、単味用法だけでなく7情と定義される相互作用も明らかにされており壮観。 「說文解字」の≪艸≫部に対応することになるが、それ以外の部所属文字もあることを想い起こさせてくれる。 <椴 木槿 櫬 木槿>≪木≫部 <筍 竹萌><簜 竹><簢 筡中 仲 無笐 䈚 箭萌 篠 箭>≪竹≫部 <秬 K黍 秠 一稃二米 稌 稻>≪禾≫部 <黂 枲實 枲 麻>≪麻≫部 <蒮 山韭>≪韭[菜名]≫部 <齧 彫蓬 齧 苦堇><緜馬 羊齒>≪齒≫部 [齧=噬] <蔩 菟瓜>≪瓜≫部 <瓠 棲瓣>≪瓠≫部 <淔灌>≪水≫部 このことは推測の糸口が無いと迄は言いかねる。 ただ「爾雅」解釈本や文献調査では、こうした折角のヒントに目を瞑ることになるから、未詳度は深まること間違いなし。中華帝国では、注解とは唯一の思想的主張行為だから、これは致し方無い。唯一、期待が持てるのは名山遍暦 仙藥尋訪 盤桓吟詠をベースにしている本草系だが、そこらは江戸期から調べ尽されて来た筈で、今更検討してどうにかなるものでもなかろう。 しかし、糸口有りと感じたなら、「說文解字」のセンスで推定すれば(少なくとも、部首順列想定をしていないと。)、難しい訳でもなさそう。≪艸≫≪木≫≪竹≫≪禾≫等とは造字上無縁な文字の植物名を以下に並べてみたが、未詳と見なされている名称でも、それなりに指摘できるのではあるまいか。・・・ 倚商 籹脱 [カミヤツデ 紙八手 or 通脱木] 皇(麥) 守田 [蕎麦 燕麥 or 茭笋/(雕)苽≒菰] 望 乘(椉)車 [ハブソウ 波布草] 攫 烏階(/杷) [ツワブキ 艶蕗 or 橐含/橐吾] 杜(衡) 土鹵 [ウスバサイシン 薄葉細辛] 粼 堅中 [前後収載文字から見て竹類] 馬舄 車前 [オオバコ 大葉子 車前草] 組 似組 東海有之 [昆布] 帛 似帛 布 似布 華山有之 搴 柜朐 [n.a.] 「爾雅」の記述には、重複もみられ、部分的類別集団化もなされているから、そこらを勘案し整理すればなんとかなりそうな気もする。 例えば、冒頭は、山韭(韮)[ニラ] 山蔥(葱)[ネギ] 山薤[ラッキョウ] 山蒜[ノビル] 山蒚[トウキ]との流れなので、繋がりを感じさせる訳で。† ただ、問題は、この後。 突然、花木の木槿[ムクゲ](落葉灌木 非草)。 (上述した様に釋草にもかかわらず≪木≫部の木本と思しき植物を紛れ込ましている。釋木を別途設定しているのに、どういうつもりなのだろう。・・・植物分類としての草と木の仕訳の考え方が違うことを指摘しているのかもしれない。葮 蕣という文字が木槿を意味しているらしいから。) さらに、山薊[アザミ]と続く。どう考えて並べているのかさらに分からなくなる。 ≪艸≫𦬸:山薊なので、<山>シリーズにしたかったのだろうか。そうなると、"薊"文字続きの、楊 枹薊はなんなんだ。これ又、木偏の木本的文字である。(楊 蒲柳@釋木 汎汎楊舟@釋水) 但し、草本と見なすことは可能で、[漢方名]朮おけら[植物名Jp.:關蒼術]となるが。("楊雄以爲蒲器"が用途かは不明。)≪禾≫秫:朮。 さらにその先となると、厄介極まる。 拜や齧等は目的語を当該草とする動詞にも見えるし。・・・ <葥 王蔧 菉 王芻> 葥:山苺(苺:馬苺) 蔧:n.a. 菉:王芻 芻:刈艸 <拜 蔏藋> 拝:n.a.(跪:拜) 蔏:n.a.⇒<購 蔏蔞> 藋:釐艸(釐:家福) ↑購:以財有所求 蔞:艸 可以亨魚 <蘩 皤蒿 蒿 菣 蔚 牡菣> 蘩 繁:n.a. 皤:老人白 蒿:菣 菣:香蒿 蔚:牡菣 <齧 彫蓬 薦 黍蓬> 齧:噬(噬:啗 喙) 彫:琢文 蓬:蒿⇒(艾:冰臺) 薦:n.a.(荐:薦蓆 蓆:廣多 [莚 茣蓙:n.a.]) 黍:禾屬而黏者 結局のところ、どんなまとめ方か思い巡らすことが出発点ではなかろうか。 例えば、常識的に、穀類をひとまとめにしている筈。ところが、どうにもまとまりが今一歩だし、網羅性も欠いている様に映る。そこらの理由を考えると、編纂方針も次第に見えてくるかも。・・・ 粢 稷 衆 秫 虋 赤苗 芑 白苗 [粟類] 戎菽謂之荏菽 [大豆] 萒 雀弁 [雀野豌豆] 蘥 雀麥 [燕麦] 秬 K黍 秠 一稃二米 [燕黍] 稌 稻 [稲] ムツオレグサ [六折草 泥鰌繋 or 蓑米]…甜茅 假鼠婦草 マコモ [真菰 or 赤米]…マコモダケ等関係文字多数の筈だが 苽[雕苽]対応文字が「爾雅」には非収録 とりあえず、この段階での見方を書いておくことにしよう。・・・ 穀類こそ帝国経済を支える根幹であるものの、王朝感覚からすれば、第一義的には祭祀に於ける<六牲>。換言すれば、狩猟⇒畜産⇒農産という歴史観が根底になっていると言う事。 凡王之饋 食用六穀 膳用六牲 [「周禮」天官冢宰 膳夫之職] このことは、<六穀>は、帝国の政治経済的重要性で選定されているに過ぎず、精神的あるいは宗教的な観点で選ばれている訳ではないことになる。つまり、せいぜいのところ、最重要穀を糯黄実と位置付ける程度の発想でしかなく、当該王朝が直面している状況次第でいかようにもとなろう。 ただ、食文化的には、肉に対応する穀という流れが奔流化したに違いない。 掌和王之六食 六飲 六膳・・・ 凡會膳食之宜 牛宜稌 羊宜黍 豕宜稷 犬宜粱 鴈宜麥 魚宜菰 [「周禮」天官冢宰 食醫之職] † アリウム系(ネギ ニンニク ラッキョウ ノビル) 芳香系(セリ セロリ パセリ ミツバ トウキ ニンジン) ショウガ[薑/生姜]は全く別。どういう訳か非収載。(不撤薑食 不多食 [「論語」ク黨第十之八]) ≪釋草 第十三≫ 蒮 山韭 茖 山蔥 葝 山薤 葝 山蒜 薜 山蒚 椴 木槿 櫬 木槿 朮 山薊 楊 枹薊 葥 王蔧 菉 王芻 拜 蔏藋 蘩 皤蒿 蒿 菣 蔚 牡菣 齧 彫蓬 薦 黍蓬 萆 鼠莞 葝 鼠尾 菥蓂 大薺 蒤 虎杖 孟 狼尾 瓠 棲瓣 茹藘 茅蒐 果臝之實 栝樓 荼 苦菜 萑 蓷鷊 綬 粢 稷 衆 秫 戎菽謂之荏菽 卉 草 萒 雀弁 蘥 雀麥 蘾 烏蕵 萰 菟荄 蘩 菟蒵 蔩 菟瓜 茢薽 豕首 荓 馬帚 藱 懷羊 茭 牛蘄 葖 蘆萉 淔灌 苬 芝 筍 竹萌 簜 竹 莪 蘿 苨 菧苨 絰 履 莕 接余 其葉 苻 白華 野菅 薜 白蘄 菲 芴 葍 䔰 熒 委萎 葋 艼熒 竹 萹蓄 葴 寒漿 薢茩 芵茪 莁荑 蔱蘠 瓞瓝 其紹瓞 芍 鳧茈 蘱 薡怐@蕛 苵 鉤 芺 薤 鴻薈 蘇 桂荏 薔 虞蓼 蓧 蓨 虋 赤苗 芑 白苗 秬 K黍 秠 一稃二米 稌 稻 葍 藑茅 臺 夫須 藆 藅 莔 貝母 荍 蚍衃 艾 冰臺 蕇 亭歴 苻 鬼目 薜 庾草 蔜 𦺋𧃒 離南 活莌 蘢 天蘥 須 葑蓯 蒡 隱荵 莤 蔓于 蓾 蔖 柱夫 搖車 出隧 蘧蔬 蘄茞 蘪蕪 茨 蒺蔾 蘮蒘 竊衣 髦 顛蕀 雚 芄蘭 蕁 莐藩 蕍 蕮 蔨 鹿 其實莥 薃 侯莎 其實媞 莞 苻蘺 其上蒚 荷 芙渠 其莖茄 其葉蕸 其本蔤 其華菡萏 其實蓮 其根藕 其中的 的中薏 紅 蘢古 其大者蘬 蒫 薺實 黂 枲實 枲 麻 須 蕵蕪 菲 蒠菜 蕢 赤莧 蘠蘼 虋冬 萹 苻止 濼 貫衆 莙 牛藻 蓫薚 馬尾 萍 蓱 其大者蘋 莃 菟葵 芹 楚葵 藬 牛蘈 藚 牛脣 苹 藾蕭 連 異翹 澤 烏蘾 傅 目 釐 蔓華 蔆 蕨攗 大菊 蘧麥 薛 牡𧄽 葥 山莓 齧 苦堇 藫 石衣 蘜 治蘠 唐蒙 女蘿 女蘿 菟絲 苗 蓨 茥 蒛葐 芨 堇草 虃 百足 菺 戎葵 蘻 狗毒 垂 比葉 蕧 盜庚 芓 麻母 瓝 九葉 藐 茈草 倚商 籹脱 蘵 黃蒢 藒車 芞輿 權 黃華 葞 春草 蔠葵 蘩露 菋 荎藸 蒤 委葉 皇 守田 鉤 藈姑 望 乘車 困 衱袶 攫 烏階 杜 土鹵 盱 虺牀 蔝 蔜 赤 枹薊 菟奚 顆涷 中馗 菌 小者菌 菆 小葉 苕 陵苕 黃華 蔈 白華 茇 蘪 從水生 薇 垂水 薛 山麻 莽 數節 桃枝 四寸有節 粼 堅中 簢 筡中 仲 無笐 䈚 箭萌 篠 箭 枹 霍首素華 軌鬷 芏 夫王 藄 月爾 葴 馬藍 姚莖 涂薺 芐 地黃 蒙 王女 拔 蘢葛 藗 牡茅 菤耳 苓耳 蕨 虌 蕎 邛鉅 蘩 由胡 莣 杜榮 稂 童粱 藨 麃 的 薂 購 蔏蔞 茢 勃茢 葽繞 棘蒬 茦 刺 蕭 萩 蕁 海藻 長楚 銚芅 蘦 大苦 芣苡 馬舄 馬舄 車前 綸 似綸 組 似組 東海有之 帛 似帛 布 似布 華山有之 苀 東蠡 緜馬 羊齒 萿 麋舌 搴 柜朐 蘩之醜 秋爲蒿 芺 薊 其實荂 蔈 荂 荼 猋 藨 芀 葦醜 芀 葭 葦 蒹 薕 葭 蘆 菼 薍 其萌虇 蕍 芛 葟 華榮 巻施草 拔心不死 荺 茭 荄 根 攫 橐含 華…【荂】 華荂…【榮】 木謂之華 草謂之榮 榮而實者謂之秀 榮而不實者謂之英 ⏩続 ![]() (C) 2025 RandDManagement.com →HOME |