■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[15c釋蟲]■■■
<蟲>の定義らしき文章が末尾に記載されているため、釋蟲篇の対象は一体なんのか、極めて分かり難い。(もっとも、蟲⇒虫とか它=虫と見なす通説しか見かけないので、そう感じることは滅多にないのかも。)
「說文解字」もこれに倣った字義を採用しているものの、どう見ても小篆の字形からの推定はそう簡単に結論を出すことはえらく難しい。<虫>では重ねることが不可能な2つの字義を収録しており、極めて難儀している様子が見える。
   
[一名蝮 博三寸 首大如擘指 象其臥形
   物之微細 或行 或毛或蠃 或介或鱗 以虫爲象]

 <加點新語>
 ≒它[虫 象冤曲垂尾形] ⇒蛇 虵 𧉮
     (冤[屈 兔在冂下 不得走 益屈折也])
[虺以注鳴]…蝮蛇(まむし)
  蝮 虺 博三寸 首大如擘@釋魚
[有足謂之蟲 無足謂之豸]…總名(動物)
  ditto@釋蟲
 ≒𧈰
[蟲之總名]…總名(昆蟲)
 ≒蜫
[腹中蟲]
  蠱 慆 貳…【疑】@釋詁

秦の官僚が、どうして、イメージ的に意味が想定しにくい字にしたのか、「說文解字」の視点でのimplicationを考える必要があろう。・・・
尚、漢字を移入した日本語では、語源が異なるのに同一文字化することがあり、"別字衝突"と名付けられている。(e.g. 藝⇔芸)これと同様ということでよいのかは、なんとも言い難し。
 【虫】
   [漢音](=虺)⇔チュウ(蟲の略体)
   [呉音] ケ  ⇔ジュウ
   [訓] むし (e.g. 養虫 匐虫 奇虫@「古事記」下巻最初の天皇段)
小篆の字義、つまり「說文解字」推定原義はこんなところから出発したのでは。・・・
  <虫>爬虫類的小動物
  <䖵> 同衆性
  <蟲>陸棲衆性節足小動物
芋虫毛虫の類が大発生し、その変態後に有象無象の微小生物の群れが右往左往するという情景に根ざした文字群なのだろう。
もっとも生物とは多かれ少なかれそういうものとの達観があり、<蟲>外見分類として、毛蠃介鱗が用いられることになった風に見える。
  

     

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