■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[15x釋蟲]■■■
釋蟲は色々と考えさせられる。

者聖書の民に、虫の聲を聴いたり、その動きを愛でる習俗は無い。それは一生の最重要行為たる生殖活動を意味していることを知っていたからだろう。ヒトとムシの間に、認知上でたいしたバリアがなかったことを意味しよう。(仏教六道観とも合わない。バトルゲームは戦闘士を配下にすることが嬉しい性情を示すもので、全く別の感覚。)
しかし、これを東アジアの基層的文化とするのは避けた方がよさそうである。儒教圏と日本列島での虫文化は表層的には似ている点もあるものの、別個な発展を遂げていたと見る方が分かり易いからだが。

釋蟲の分類観を考えると、そう感ぜざるを得ないから。
一書にしがちなのは、聖書の民に、昆虫を食材にすることに抵抗感を覚えない人はいないから、それ以外との二分観で単純化しがちだから。
この違いの発生は、東アジアが多様で膨大な数の昆虫が棲息する地というに過ぎまい。穀類農業や牧畜という食糧生産パターンが社会の骨格とされていなければ、虫を食材として避ける道理が無かろう。それだけの話と違うか。
現在、虫は一部が高級食材化しており、蝙蝠糞中の蚊の眼玉のスープといった眉唾モノの存在が示すように、(非儒教圏も含め)漢方的効能期待があるから、珍味として好まれて来たからこそ、その虫食文化が保たれて来たと見ることができるのでは。

そんな風に考えると、古代、虫の調達が容易な場合、大いに消費されていてもおかしくなかろう。お好みの形態(幼虫-蛹-成虫)を選んだ上、調理方法を工夫すれば、虫が食材扱いされて当選と違うか。
そうだとすれば、虫の分類は、その視点からなされている可能性があろう。

現代感覚で主要種を並べると、こうなる。・・・
蝉類 蜂類(蜜蜂類 似我蜂/雀蜂類) 大型蟻/白蟻 蝗/飛蝗 川虫(水? 牙虫 源五郎 田亀) 亀虫 髪切虫 甲虫 象虫 蚕類 蠍 大型蜘蛛
もちろん、この他に、特別視分類も同居することになる。しかし、現代の当たり前の分類方法を採用していないから、並立的に同居することになる。そこらは、現代人には真似が難しい。
  【害虫】𧈩/𧈺/𧈱 𧎢/𧑰 螟 蟊 蚄 etc.
  【毒虫】蚖/螈 etc.

小生はこの食分類感覚は、非常に重要と見ている。
本草なるものも、その手の派生的検討に過ぎないと思うからだ。そう考えた切っ掛けは、現代常識的には空想上の存在と見なされている誰でも知る生物名が含まれているから。つまり、それは創造されたのではなく、儒教官僚層から見れば合理的に考えれば存在している服用可能な生物ということになる訳で。

このことは、食分類を徹底的に追及すれば、考え方が見えてくる可能性がある訳で、文字分類と言うか、合字の仕組みがわかるかも知れない。

そもそも、「爾雅」に釋器があること自体が特異と言わざるを得まい。覇権争い大好き民族だからこれが武器だらけなら納得だが、食器/飲用器だらけなのには驚かされた。生贄の時代からの伝統とはいえ。

ダラダラ書いているのではなはだわかりにくいが、<食分類感覚>は間違いなく高度な階層構造で成立しているということ。ただ、残念ながら、古代の食の実相が知り得ないので解明は困難。
つまり、こういうこと。
階層分別はあるものの、繋がっている。現代でも、多少は関連性があるが、食材と用具、料理は別なカテゴリー。しかし、中華帝国王朝では、そうはいかなかったようだ。
  <生物>+<棲息地域>
   │
  <成長段階様態>
   │
  <調理用具>+<調理方法>
   │
  <料理>
   │
  <食器(原則非酒器)の皿>

ここに、現代で云えば、満漢全席的料理と不老長生薬膳に結晶化されたコンセプトの原型があるといってもよいのでは。目的に合わせて、上記は一気通貫の規定が創出される訳で、厳格を究めていた筈。皇帝の意にそぐわなかったりすれば即死罪の世界なのだから。
それぞれの専門官僚が専門用語を必要としていた訳で、独特の合字と呼名がいくらでも生まれて当然。精緻煩雑なほど王朝内での力を誇示できるのであるから。その状態で、学問官僚はそれらを勘案し、公定政治文章での使用文字を創成したことになろう。

-----釋器
📖-----
<調理用具>
 鼎/𪔂…∩型取手と3(or 4)脚付鍋
    鼏=鎘…蓋 覆
 鬲/鎘…脚も中空(蒸気発生用水入部)の湯沸かし容器
  鬴…丸底短脚釜
  鬹…注ぎ口付3脚釜
  甑…底穴型蒸し器
 甗…甕状蒸し器(鬲の上に甑を載せる。)
<調理方法>
 䵼/𩱐/𩰱…肉を煮込む
 𩰴/𩱊…じっくり煮込む
 𩰾…釜で湯を沸かす
 𩱏…加熱し水分を飛ばす
<料理>
 羹=𩱋…あつもの
 𩱃=䊕…粥
 …多めの水で炊いた穀類の飯
 𩱓…蒸粉餅
<食器(原則非酒器)の皿>
盂[飯器] 盛[黍稷在器中以祀] 盛[黍稷在器以祀] 盧[飯器] 䀇 盄 㿾 盨[㯯盨 負戴器] 䀊 𥁑[械] 醯[酸 作醯以𩱙以酒] 益[饒(皿…益之意)] 盈[滿] 盡[中空] 盅[虛] 盦[覆蓋] 盥[澡手 𦥑+水臨皿] 盪[滌] 盋[盋 盂屬] 盎[盆]缶---------
 㿻 盆…ポット〜ボウル
   𥁄…深めの㿻
   盋=鉢 缽 砵
   盌=椀 埦 碗 鋺
 𥁈 𥁊…口の開いた碗
 盃…片手で持てる飲用(コップ グラス カップ)
  㿿 䀀…大杯
 盉…調味料容器
 盄…火に掛ける持ち手付垂れ用銚子
<生活雑貨の皿>
 𥁉 𤃗…手洗い用
  
     

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