■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[16a釋魚]■■■ 乙=魚腸 丙=魚尾 丁=魚枕 (干=浣/澣/𤃬[濯衣垢]は水ということで、魚を当てたのだろうか。) 一方、「說文解字」は、驚くほど独断的に、人の部位の象形と見なしている。 この指摘に刺激されたからかも。・・・ 甲[人頭] 乙[人頸] 丙[人肩] 丁[人心] 戊[人脅] 己[人腹] 庚[人𪗇] 辛[人股] 壬[(人褢妊之形)人脛] 癸[人足] この辺りについてはすでに触れたが📖、折角だから、追記することにした。 おさえておくべきは、<十二支>の推定元義。 常識的には、"年"暦表記用ではなく、12ヶ月用。従って、それに対応する植物の生育状況の文字<耔〜核>が充当され、その略字が<子〜亥>ということ。これより説得力がある説はあり得まい。 <十干>は、原議としては、暦的な十進法の数字だが、その元義は自明ではない。<一〜十>を<甲〜癸>に書き換える必要があったと考えるしかないが、その理由がわからないからだ。(1〜10という数字の、もともとの表記方法とは思えない。) そこで考えられることとしては、10個の太陽という概念。 日々交代で十日で一巡/旬とされるが、代表交代制で、それぞれの性情で季節が生まれるという、5x2(兄弟)の時節分類(気候と河水流状)ありと見れないこともない。要するに、これは太陽の10種類の號(固有名詞)ということ。 その辺りを勘案して、人の部位の象形と考えたのだろうが、かなり無理がある。五行に当てるのは更なりと言うことになるが、五行観念とはもともと型に当て嵌めた分類で宇宙秩序を規定する哲学なのだからおかしなものではない。季節は、四季ではなく、5x2季とするだけのこと。(季節感覚は気候帯で一変するから、生活暦的に5x2季としていた部族の存在はありえる。) (<十二支>同様に、植物の状況を表しているとすることもできる。甲羅は種のカバーという具合に。戊とは繁茂であるとすればよいのだから。漢字はこの手の読み方はいくらでもできる。しかし、この手の併存は官僚統治国家ではあり得ない。) 「說文解字」の記載字義を順々に眺めて見ると、こんな具合。・・・ 甲:東方之孟 陽气萌動 亀甲の卜と関係しているというならわかるが(口に割れ目の十が被さる形。甲羅から尾では無い。)、字形が人頭というのは解せぬ。 "十→千→木etc."との字形連続を措定しさえすれば、それは卜の割れの発生伸展を意味しそうだし。 五行に当てるなら、亀卜なので、火か木ということになろうが、小生のセンスとしては後者がしっくりくる。 乙:象春艸木冤曲而出 陰气尚彊 其出乙 甲に繼ぐ文字なので、陽 v.s. 陰で定義することになるが、萌芽と、曲がって伸びる状況の対比とするには無理があろう。 甲乙を一組とするなら、陰陽ではなく、亀甲 v.s. 鹿肩骨とするしかなさそう。 甲乙が占卜とを意味しているとすれば、<十干>とは、祭祀を行う季節あるいは日時を規定する用語かも知れない。 孟春之月 其日甲乙 孟夏之月 其日丙丁 孟秋之月 其日庚辛 孟冬之月 其日壬癸 [「呂氏春秋」紀部十二@前241年] 丙:位南方 萬物成 炳然 陰气初起 陽气將虧 様々な説あり状態らしい。部首が≪一≫、≪冂≫、≪丙≫のどれが妥当かも、なんとも言い難しだから、当然。 「爾雅」の魚尾には、成程感を覚えないでもないが、魚発想となると、甲は魚骨格かネとなりかねず、これはありえそうにない。 字形はテーブルにも見えるが、広がり構造なので、腑に落ちないところがあるが、特別な祭壇と見なすことはできるかも。 丁:夏時萬物皆丁實 象形 丁承丙 一般的な字体イメージは釘の頭だが、これでは、甲乙(亀甲 v.s. 鹿肩骨)とどう繋がるのかさっぱりわからない。「說文解字」の考え方は、とんでもなく強引に映るものの、一貫性確保との方針は正当。(ミクロで似ているとか用例の指摘があったところで、どうしてその字義が用いられているのかの論理を欠くと、単なる思いつきレべルと見なされても致し方あるまい。) 戊:中宮 象六甲五龍相拘絞 戊承丁 干支60に使われている以上、五行的に五辰を示す文字と見なすのは理屈。しかし、字形がそれを示唆しているとは言い難い。どう見ても、柄付き武器類(戉戌戉 斧 鉞)なのに、人の脅としている。 己:中宮 象萬物辟藏詘形 己承戊 "おのれ"としての用法があることでは、象人腹(=身体)に一理あり。わざわざ古文文字にも触れているから、ヒト祖蛇体の標章(縄文)ということかも。(官僚の称号だった可能性もあり、そこから"私"の意味が生まれていてもおかしくは無い。) クネクネ形態の表現であることは間違いなさそうだから、無文字縄記録時代を彷彿させる文字と云えそう。 庚:位西方 象秋時萬物庚庚有實 庚承己 字形は、下に長いYに‐を加えたものを両手で持ち挙げている様に見える。糠文字があるから、杵と見なすこともできるが、その行為にどういう意義があるのかわからぬ。 それなら、庚は樂としての意味もあるから、柄付き楽器を持つと考えた方がよさげ。おそらく鐘の類だろう。収穫祭用だろうが、戦闘鼓舞用かも。 辛:秋時萬物成而孰 金剛 味辛 辛痛即泣出 白川論では針がある入墨器具。黥刑は辛苦を伴うが、それは中原での話。南の刺青は呪。 壬:位北方 陰極陽生 字形としては、士、王、工のどの類縁か考えてしまうが、戦いに関係する文字とすれば、どれだろうと関係してくる。その場合は武器と見なすことになる。妊や紅が類縁とすれば、あり得ようにないが。 癸:冬時 水土平 可揆度 象水從四方流入地中之形 癸承壬 字体は十文字模様なので、どうとでも解釈できる。と言うか、癸から想像しがちな形からかけ離れている。どうしてこの様な造字をしたのか不可思議。葵や揆の存在を考えると、この文字が10文字の〆になっている様にも思えてくる。 ⏩続 (C) 2025 RandDManagement.com →HOME |