■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[17na釋鳥]■■■
比定できそうにない④"同穴鼠なる鳥"を検討したので、他についても触れておこう。ほとんど参考にはならないが、同じことを繰り返す時間の無駄は省けるだろう。・・・
---未詳---
①齧齒 艾…艾氏管鼻蝠Mekong bat@越南…テングコウモリ類似
②密肌 繼英…鶧(𪃳)鵡類
 [cf.@釋蟲]密肌 𧓓英=蓑衣蟲…ミノムシ[蓑虫]bagworm ⇒ 𪅮 鶧
③爰居 雜縣…鶢鶋海鳥
④鵌…[同穴鼠爲鼵]

には一瞬驚かされる。
鳥には嘴はあるが、歯がある訳もなく、これは非bird飛行動物だろうか。歯が特徴ということなら、齧歯類だろうが、この手の名称で呼ばれそうな種はみつからない。無理矢理選べば上記の通り。
ともあれ、通称が草のヨモギ(《艸》蓬[蒿] 艾[冰臺] 蕭[艾蒿])ということになると、ほぼお手上げ。
     中亞苦蒿ニガヨモギ[苦蓬]worm wood
     魁蒿ヨモギ[蓬/艾/蕭]mugwort
     茵蔯蒿カワラヨモギ[河原蓬]capillary wormwood
     艾草チョウセンヨモギ[朝鮮蓬]Chinese mugwort
鳥の名称としてあり得ないとまでは言えないものの。
【艾的体色】
  K臉鵐/蓬鵐(蒿鵐)アオジ[青頭雀/蒿雀]black-faced bunting

ただ、よく考えてみると、ガチョウには歯があるという言い方もできるので、ヨモギ色のガチョウ的歯の鳥が存在してもおかしくない。現実には、見つからないものの。
【水中魚獲型喙(邊緣呈鋸齒狀)】
  川秋沙/魚鑽子川アイサmerganser/Eurasian goosander
【貝/甲殻類食(邊緣呈鋸齒狀)】
  大濱鷸/姥鷸オバシギ[尾羽鷸]great knot
【大量水草食(濾用突起)】
  灰雁/大雁ハイイロガンgreylag goose

は"どうなっているんだ"的な記載。
蓑虫@釋蟲と同じ名称なのだから。
もっとも、どうしてこの様な名称になっているのか分からない限り、推定に取り掛かることもできかねる。
蓑造り動物ということなら、周囲の草を使う日本最小鼠(カヤネズミ)が思い浮かぶが、吊巣(囊袋)の鳥ということか。
  中華攀雀/洋紅兒ツリスガラ[吊巣雀]Chinese penduline tit…広域(北は満州 南は海南島)
情報が少ないから、本草的な魅力が薄いと判定されていそう。
尚、日本で有名だったのは、在上野バードケージのカンムリオオツリスドリのペアの方。
  ムクドリモドキ類new world blackbirds@新大陸&西インド諸島…新大陸のアトリ近縁
・・・以上、くだらぬ思い付き。蓑虫の袋は♀が残るから確かに巣ではあるものの、巣ごと移動するからこその羽織っている蓑であって、移動しない場合、類似概念とは言いかねるので。もっとも、漢語で蓑と読んでいる訳ではないが。

は"縣"が悩ましい。区域を意味するとも思えないが、さりとて懸垂イメージは似つかわしくないように思えるからだが。
鳥文字の方の用例は少なくはないので("鶢鶋避風 不望洪鐘之樂")、辞書に合わせて海鳥と記載しておいたものの(「爾雅注疏」が「國語」として指摘している。)、これに従うとすれば、白色胸羽的な外見の猛禽の一種とでもすることになりそう。そうなると、納得感ゼロに陥りかねまい。
問題は、何故に鳥文字を回避しているのかが、えらく不透明な点。(鶋は鴨、鵯と連語として使われているし。)
…結局のところ、不詳扱いが妥当とならざるを得ない。無理にでも比定したいなら、雜とは、𣜫とし、繫留されているとした方がよいのでは。

【附言】「爾雅」は博物学的知見を深めようとして成った書ではなく、あくまでも、詩作用"雅語"の知識を提供すべく整理した字書。その"雅語"の論理が見えないから、細々と検討せざるを得ないだけ。釋鳥など、用語をどういう観点で配列しているのか、さっぱり見えないのだから、そこに、一歩も踏み込めていないことになる。個々の比定自体はどうでもよいのである。
上記の4用語など、"雅語"として並べる必要があるのか、はなはだ疑問。

  

     

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