■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[19a釋畜]■■■ 「說文解字」はそれを見かけ踏襲している様に映るが、理念は全く異なる。前者は詩作用アンチョコに限りなく近いが、後者は文字宇宙の構造(秩序)を示すために、造字ルールの根本に迫る叙述に徹しているからだ。 (白川論が秀逸な理由は、論理性無きままにミクロの語源分析を行うしかない状況を突如突き崩したこと。換言すれば、「說文解字」の本質を見抜いたことにある。そうなれば、3通りの字書執筆は必然と言えよう。現時点では、字書と呼べるのは「說文解字」と白川本しか無いことになろう。他の語源論とは個々の漢字用法に付随する便利な見方以上ではない。その時代を生きる上では非常に役立つが、長期的視野で見ればたいした意義はない。) しかし、流石に、A=B型ではどうにもならない箇所はある。それが馬の記述。 そのため、釋畜馬屬と馬部を比較すると、そこらの理念の違いが透けて見えて来る。・・・ 馬:怒 武[象馬頭髦尾四足之形]† ここには、馬を<六畜の雄>と位置付ける発想は全くない。造字の基本は、字体で発生するイメージであると宣言しているようなもの。 馬字の基本は(超視覚)大目・(威武)鬣・(強力)体躯・(疾走)四蹄足であり、特徴ある尻尾はイメージ的には不要ということになる。これこそが王朝官僚による造字の基本。 成馬(武)育成には3年を要し、老獪8年と 、はっきりと記してある。 文字上ではっきりしているのはブタ・ニワトリとカテゴリーは違っており、「爾雅」では捨象している"象"と対照的な文字ということ。野生的観点なら、熊と並ぶ地位にあるとしているようなもの。馬八尺〜鶏三尺という見方は唾棄すべきというのが「說文解字」の主張である。(労役用"畜"は牛が妥当で、馬の本質ではないということ。) ≪歲 身体高@「說文解字」≫ 𩡧:一歲 駒:二歲 駣:三歲 騑:驂 ⇔玄駒 褭驂@「爾雅」 駣:四歲 馴:馬順 𩡩 𩢹:八歲 䮔:小皃 驕:高六尺 騋:高七尺 龍:高八尺 驁:駿馬 駿:馬之良材者 騛:馬逸足 驥:千里馬 孫陽所相者 性の峻別についてもその表記には差がある。怒というイメージに牝馬云々でもあるまいし。常識的には、漆黒の馬たる、驪の字義解説が異なることになる原因と見ることもできよう。 驪:馬深K色くろこま 騏:馬青驪 文如博棊くろみどり 駽:青驪馬 驈:驪馬白胯 ⇔ 驪馬黃脊 騽 驪 駽 驪 驒 驪繁鬣 騥 驪白雜毛 駂 ≪♂♀≫ 驪 𨽥 駔:牡 騇 騭 騍 騲:牝 騬 䮪 騸:犗[去勢] 馬文字はその体色でのバラエティ化が凄まじいので、眺める気力を失いがちだが、その信仰は見ておくだけの価値がある。 なんとなれば、現代でも朝鮮半島は上に被さり信仰があるものの根底は儒教一色だから。白馬騎乗の天子尊崇風土が受け継がれていることは間違いない点から見て、儒教の天子独裁-官僚統治の絶対性に揺らぎなど全くないことがよくわかる。 (大日本帝国も倭国から連綿と続いて来た非儒教の伝統を破棄して、儒教国家の道を歩もうと試みたが、失敗した。もちろん、儒教化を目指す勢力が消えた訳ではない。ついでに触れれば、毛沢東思想も言葉の上では儒教の封建制を批判するものの、西欧的思想を被せただけで、天子独裁-官僚統治の絶対性の流れを汲む王朝政治以外に帝国樹立は無理と見ていた訳で、同根。) ≪白馬@「爾雅」≫ 膝上皆白: 惟馵 四骹皆白: 驓 四蹢皆白: 首 前足皆白: 翑 後足皆白: 翑 前右足白: 啓 左白: 踦 [踦:一足] (騎ride) 後右足白: 驤 ⇒馬之低仰 左白: 馵 ⇒馬後左足白 駵馬白腹: 騵 䮡 驪馬白跨: 驈 ⇒〃 白州: 驠 ⇒〃 尾本白: 騴 尾白: 駺 馰顙: 白顛 白達: 素縣 面顙皆白 : 惟駹 ⇒〃(駹) 駵白: 駁 ⇒馬色不純 (駵)くりげ 黃白: 騜 驪白雜毛: 駂 黃白雜毛: 駓 ⇒黃馬白毛 しらかげ 陰白雜毛: 駰 ⇒〃 どろあしげ 蒼白雜毛: 騅 ⇒馬蒼K雜毛 彤白雜毛: 騢 ⇒馬赤白雜毛 謂色似鰕魚 白馬K鬣: 駱 ⇒馬白色K鬣尾 かわらげ 白馬K脣: 駩 一目白: 瞷 ⇒𩦂 二目白: 魚 ⇒〃 𩥭 ちなみに、日本国での神馬はK身白髮尾だった。[「續日本紀」聖武天皇] † 「說文解字」は古文派の書。今文派をコテンパンに批判。・・・馬頭人為長人@巻十五叙("長"="馬+人") v.s. 長:久遠[兀+匕 兀者…高遠意](小篆の字形を見れば歴然。)久則變化 亾聲 者 倒亾 【付記】馬祭@釋天に対応するのは≪示≫。禡:師行所止 恐有慢其~ 下而祀之曰 禂/𩦑:禱牲馬祭 ---参考【現生 野生の馬類(7種)】--- 山斑馬-平原斑馬-細紋斑馬シマウマ[縞馬]@アフリカzebra 西藏野驢チベットノロバkiang 亞洲野驢(蒙古 波斯 土庫曼 印度)アジアノロバonager 非洲野驢アフリカノロバAfrican wild ass (普氏野馬)モウコノウマ[蒙古野馬]Przewalski's horse…人為的復活 ⏩続 (C) 2025 RandDManagement.com →HOME |