■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[19ba釋畜]■■■
牛と比べると鶏/雞の記述は僅か。無くてもよさそうに映るほど。
「說文解字」≪≫部での対応を見ておこう。
   雄:鳥父(ニワトリ♂cock)
   雌:鳥母(ニワトリ♀hen)
雞:知時畜
  雛:雞子  ⇔未成鷄chick(/𡃁)
  :鶤雞  ⇔鷄三尺
       日本軍鶏の同系である闘鶏種Malayは90cm高。
  翰:天雞赤羽golden pheasant(/鶾)
雞大者の""雞は明代の創作話にも登場する位だから(宋濂:"豚澤之人養蜀雞"@燕書)有名だった筈だがあえて記載しなかったようだ。当然、蜀子の""も非収載。大ニワトリに意味がある訳ではなく、鶤としての強さが本質と見なしているのだろう。何処が特産地かに触れてはいないものの。

ただ、「爾雅」記載で、大いに気になるのは、"蜀"のみで、"-雞"が略されていること。蜀*は、蠶silkworm/蠋caterpillarであって、そこから國名になったと思われる文字。従って、国鳥的位置付けでもなければ、こうした記載は考えにくい。
そうなると、これは、「山海經」大荒西経の【人之國】青鳥𪇆・・・身黄赤足六首以来の鳥信仰を引き継いでいる可能性が高い。
「爾雅」釋鳥で<鸀 山烏>として登場する鳥のトーテム偶像モデルということになる。
ニワトリ類としては躯体が余りに大きいから、親分的存在として収載したと言えなくもないが、"蜀"国が最初に馴化成功したと認定しているのかも。
(鸀は、"𪀁䳘鸀鳿"[「史記」卷一百一十七 司馬相如列傳第五十七]で登場してくる。異体としては、𩁍と𪅱がある。)

「說文解字」≪奞[鳥張毛羽自奮]≫部の":翬[大飛]"も小篆原義としては的確である。古代の鶏は馴化されていても、飛翔能力が高く、樹上留のことが多いので、縄で脚を結わえて逃亡を防ぐ必要があったと考えられるから。
もっとも、育種が進むと、絶有力powerfulの基準が違ってくることになる。
"奮"が雉の用例にも登場するのはわかるが、羊にも当て嵌まることになる。要するに、群れの統率者の♂が、多数の大人しい♀を支配する様を表現する言葉に発展することに。
 大歳・・・在丑曰:赤奮若・・・━━歳名@釋天
 螽 醜奮@釋蟲
 雉絶有力 奮@釋鳥
 絶有力 奮━━羊屬@釋畜
 絶有力 奮━━鷄屬@釋畜

尚、常識的には畜に該当するが、無視されている文字がある。
  鴚 鵝/䳘 [鴚鵝]
家禽を云々するなら、網羅していなくとも、少しは触れるものだろうが、編纂目的にはそぐわないのだろう。・・・雞ニワトリ (酷ェ)鴨アヒル[鶩] 灰雁 鴻雁[⇒鵝]ガチョウ 藍孔雀インドクジャク 疣鼻天鵝コブハクチョウ 鴿(子)カワラバト 鵪鶉ウズラ

蜀鷄は新潟県作出(江戸初期渡来闘鶏種)の長鳴黒色品種"唐丸/鶤鶏"[天然記念物]の祖 (原鶏は赤色@広域 灰色@インド 緑色@東南アジア島嶼 K赤的@セイロン)…<鷄大者 蜀 蜀子 雓>@釋畜
雓[亼+朩+隹]は表意的合字と思う。蜀雞のヒヨコ(雛)の毛が、柔-黄色ではなく、剛-褐色であれば、麻繊維の塊が集合しているとの表現がピッタリ。(余[≒餘]では無い。)
*白川漢字論@「字通」によると、牡獣の象形が蜀で、虫は性器。牝獸は尾。交接を表すのが屬。去勢は蠲。…甲骨には蜀の虫を欠く字体がある。虫箇所を除外した小篆も含めて、目が飛び出た一本線形の姿になるが、これが象形が原則である獸文字の、抽象化文字形態と見なす理屈を欠く。グループ化論理が未構築なので致し方ない。(無節操、恣意的なグループ化は有害と判断していそうだから止むを得ないが。)情緒優先の素人論だと、"蜀王+虫"の合字とみなすことになろう。
  

     

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