■■■ 小篆文字検討@「說文解字」「爾雅」[鳥]■■■
「說文解字」所収の正文字数は1万字には達していない。小生は、かなりカバーされていると見る。
例えば、birdは<隹と鳥>としているからだ。
#109≪隹≫#119≪鳥≫🅱🆂 
📖隹
燕や烏の様に狭い限定でない字義で、別な造字があっておかしくない筈だが、bird系はすべて基本部首所属文字に属すというドグマが確立している。(新概念導入の画期的な造字方法だが、分析思考に嵌っていると誰でも気付く当たり前のこととしか感じないだろう。)
この方針で重要なのは所属概念。同義字であっても、字体が異なるなら、重複ということで外すことはないが、部分的改変の異体字は項目としての収録は控えるとの大原則。(辞書はそうはいかない。調べたい文字を検索するのだから、政治的に本字と定められた文字と同義字・異体字は同列に並べるのが原則となる。多すぎるから工夫が必要だが、検索後に各文字の位置付けが分る仕組みなのだから、その時点での便益性で綱目化の判断が下されることになろう。)

つまり、<鳥>部首文字を規定することで、bird系の文字はすべてこの文字を有無を言わさずに強制的に使用させることに決定した訳だ。
異字体造字の動きを封じたとも言える。

例えば、"𪈶"は複雑な文字ではあるものの、合字にすぎず、勝手に創字されたところでたいした問題ではない。最優先課題は、あくまでも部首字体の確定。これは言葉では簡単だが、そんな訳がない。・・・
"鳥"文字は、横棒が5本だが、6本でもよかったのである。
しかも上部の白的な部分の左辺は当然ながら骨格なので下へと続くが、右辺も同様に下に伸びておかしくない。すぐ下の横棒止まりでもよいし、一番下迄繋げることもありうる。ここで最適解などある訳が無い。
・・・つまらぬことを書いているが、これらのフォントが提供されていないだけ。楷書體としては本来的にはすべて存在していておかしくない。どれが最初か判断できないが。文字とはそういうものではあるまいか。

さらに本質的な問題もあり、birdの絵文字は一筋縄では行かない。概念の整理ができていなければ、🐦🦆🦅…から標準化するのは至難だからだ。

こんな問題を抱えているとすれば、甲骨的絵文字では種類を増やすのは極めて難しい筈。
(絵文字とは、先ずは属す部門の土台となる字体を示すことが基本。これに知られる基本字体を付け加え、必要な場合はさらに補助的な装飾部品を飾りとして付けるルールが自明だから成り立つ。小篆と考え方はなんらかわらないが、字体表記のスタイルでは根本的な違いがある。甲骨は絵文字的と言っても、😀😁😂😃😄😅😆😇・・・型の絵文字とは考え方が違うのである。)
従って、甲骨文字の字種は言われているより少ないと見るべきではなかろうか。

例えば、白川論では、5千字と見ているらしい。つまり、認定文字の4割程度が解読できていると見たのだろう。
素人実感的には、卜占文字なのだから、行き過ぎ感を覚える数だ。
甲骨の場合、字体には許容度が高い筈で、左右反転できるし、付加や削除は結構な部分が可能。換言すれば、異体字だらけ。それを別字としているのでは。これでは、読めない文字も多いし、ほぼ同一字義でありながらニュアンス的違いありと見なして字種を増やしている可能性を感じてしまう。
・・・ここらの感覚は重要ではあるまいか。
要するに、小篆は部首で体系化されているが、甲骨には類似的な部品型表現があっても、体系化発想は欠けているとすれば、字種は少ない筈ということで。

「史籀篇」十五篇@周[宣王]
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李斯:「蒼頡篇」五十五章@秦(漢代再編)[3300字]
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許慎:「說文解字」十五巻@121年東漢[正文9353字]
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李登:「聲類」十巻@250年魏[11520字]
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呂忱:「字林」七巻@350年晋[12824字]
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顧野王:「玉篇」三十巻@543年南梁[16917字]
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陳彭年etc.:[重訂]「大廣益會玉篇」三十巻@1013年北宋[28989字]
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毛利貞斎:「増続大廣益會玉篇大全」三十巻@1854年江戸期[掲出41362字]

・・・部首分類字書的な經史子引用解説を中心とした佚書「玉篇」@543年(一部の巻の原本写本残存。)は、伝、親字数約2,100、17,000字弱収録とされる。
「說文解字」は小篆で整理されるが、隷書に変更されている上、音韻記載を重視している点から見て、辞書的書物定番を目指していたことになろう。(和書「篆隷萬象名義」@830+年が「玉篇」簡略版にあたるが原本散逸。全巻が揃う楷書の改訂版@1013年は収録字増、注解部大幅圧縮がなされ、原本の態は消え失せている。・・・原本は巻数が多すぎる割に、増補無しだから、辞書としては不要化必至。)
なんといってもこの書の一大特徴は、部首数が542で、「說文解字」と同等な点。(不一致部首は13。)但し、配列は字義分類で、検索容易性優先。(冒頭と末尾だけは一致してはいるが。)

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