■■■ 小篆文字検討@「說文解字」「爾雅」[去]■■■
素人が、古代文字の字義推定について云々するのも、如何なものかと思うものの、根本的なところでの<考え方の問題>があるので、そこらを一言。

対象母集団は、「說文解字」は小篆で、白川論が甲骨。ここが肝要なところで、対象集団はそれぞれの王朝官僚によって体系化されているとの前提があるからこそ検討が可能との立場。
従って、その体系を語ることなしには、議論が始まらない。
しかし、その手の体系を精緻に論証できる筈も無く、見かけ、エイヤー式の恣意的かつ強引な個人的考え方で整理されている様に映ることになる。それは間違いないが、別な体系を提起できないなら、批判といっても、多くの人の情緒に合わない部分を例示しているに過ぎない。
この手の主張は、そこだけ見れば真っ当であっても、大きな問題がある。文字とは個々バラバラに生まれたと主張していることになりかねないからだ。そうなれば、体系など無いのだから、作り方は好き好きでたまたま定着したと考えるしかなく、議論しても無駄ということになってしまう。

今迄眺めて来た文字のなかから、わかり易そうな例で説明してみよう。・・・
#172≪去≫【去/厺/㚎】🅱🆂 :人相違 =朅 𡕮
   獄訟に敗れた人(大)を
   その自己盟誓の器(𠙴≒𥬔)とともに
   廃棄する意@「字通」
 柳製飯入容器

「說文解字」はよくわからない。小篆字体は㚎なのに、大人ではなく、ヒトとヒト相違と見なしているからで、仌に見えるということだろうか。しかし、この文字はtwo blocks of iceと考えられており、本来はヒトとは無縁らしい。もちろん、ココはあくまでも人と人としても問題は無いが、从だと、walking with another person。これを縦型にしたところで、二人が離れて行く状態を示唆する字形とは言い難い。

一方、白川論は、神判で偽と認定された大人が、蓋を外した状態の"凵"を廃棄する姿と見なしている。(甲骨は、祭祀王朝の呪語扱い専門官僚の制定文字だろうが、その手の神判が存在しており、文字化された可能性を論証できる訳ではない。)ところが、甲骨では蓋部分が閉じていて、整合していない。
逆に、小篆では上が空いている。「說文解字」流の下記に示す文字系譜から解釈すれば、飯が残っていない容器を見限ったとの意味になろう。もちろん、容器といっても、祭祀用具である。"人相違也"とは、そんな祭祀を続けるヒトから"去っていく"という意味と語っているようなもの。
つまり、突然、権力によって都城の祭祀が廃止され、人々去って行く情景ということになる。(去≒巨 居 拠 炬 虚)

      :古食肉器
├┬┬┬─┐
豊│││ │ 
:行禮之器
 豐││ │ 
:豆之豐滿者
  䖒│ │ 
:古陶器
  虍│ │
  虎│ │
  虤│ │
   皿 │ 
:飯食之用器
  ┌┴┐│
  
𠙴 ││ :𠙴盧 飯器 以柳爲之[象形]
  │ ││

  去 ││(≒盍)
    血│ 
:祭所薦牲血
    丶│
    丹│
    青│
    井├┐
     皀│
:穀之馨香[象嘉穀在裹中之形 匕…所以扱之]
     鬯│
      
:一米
      │


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