■■■ 小篆文字検討@「說文解字」「爾雅」[皀食亼]■■■ しかしながら、通常、訓として"集"があてられており、一般文字扱いで、意味もそう定義されているのが普通。(「說文解字」がその若くに讀むと記載しているからかも。) どうも、"集"を"亼"の元字と認定していそう。 ・・・{隹/雥+木}から一気に{人+_}への転換が可能との飛躍的論理が広く受け入れられていることになる。(ネットリソーシスでは、その理由は記載されていないし、傍証的用例も見たことが無い。) 「說文解字」での解釈は<三合>。誰が見ても、小篆文字は、構成部品"一"が△型に配置されている字形に映るから、単純3画文字と指摘しているのだろうということになる。 辞書では、引用されることがあっても、この辺りの事情の解説は見かけないが、それは当然のこと。漢和辞書では例外なく≪人≫部所属だからだ。確かに、楷書では△型ではなく、明らかに人と_の合字なのだ。 そこで、小篆デザイン上で合字例を見ることになる。 "食"を眺めると、{亼+皀}となっている。この場合の字形はA型。これも、どう見てもヒト型とは言いかねる。 こうなると、甲骨の出番。こちらは、楷書の"亼"の原型とは言いかねるほど鮮明なA型。 素人には、どうなっているのかさっぱりわからぬ。 ただ、逆に、しがらみが無いから「說文解字」の字体系譜を見れば即時氷解。・・・ 皀 #178≪皀≫【皀】🅱 ├┐ 鬯│ 食#180≪食≫【食】🅱 │ 亼#181≪亼≫【亼】🆂 ├┬┐ 會││ 倉│ 入 こうして眺めると、白川論の、亼を器の蓋と見なす姿勢に頷かされることになる。 どう考えても、"皀"とは、スタンド付きの穀類が詰まったベッセルに映るし、その上に"A"が被さっているのだから。 しかし、小篆文字にはこの器本体の頂点に点が付いている。これでは2重蓋になりかねない、という気もしてくる。それに、Eatという意味が、食物容器のみで示すことができるとも思えないし。そうなると、"A"をmouthと判定するのが妥当そうにも思えてくる。それなら口偏になりそうなものではあるものの。(喰という別文字もあるが。) そんな風にツラツラ考えていると、「說文解字」が<食:一米>や<三合>とする理由もおぼろげながら見えてくる。 一般用語ではなく、嘉穀を用いる王朝公定祭祀の用語とみなせば、あっけなく解決するからだ。・・・三合とは後世の用語と同じで、十二支の△と考えればよいだけのこと。"亼"はこの集団祭祀を示す記号文字ということになろう。 "食"は{口+vessel}{蓋+vessel}ではなく、規定された時期に挙行する嘉穀食儀式が原議ということ。この祭祀が廃れると集団宴会としてのeatのみの字義にならざるを得ず、"亼"はA→△→{入+一}→{人+一}と定義が変わって来る。つまり、食⇔⻝という転換でもあり、"亼"の本来的存在感は失われ、最終的には{亼+皀}→{𠆢(人)+良}となって来たことになる。 文字は継続性があると言えば、その通りと云えるが、字体と字義は各王朝の文字官僚によって新しく体系的に制定され直すから、断続的な繋がりと見た方が良いと思う。(くどいが、「說文解字」が叙で指摘しているように、文字はあくまでも官僚が造るモノ。現代大衆社会で生まれた絵文字の様に人々が勝手に考案して使われるようになった訳ではない。例えば甲骨は卜占官僚が天子の為に独占的に使用するもので、人民が生み出した素朴な記号である筈がない。人民史観のイデオローグはそれを認めないだろうが。) (C) 2026 RandDManagement.com →HOME |