■■■ 小篆文字検討@「說文解字」「爾雅」[雷]■■■
中華料理用陶器で御馴染みの雷紋は青銅器出土品では見慣れた柄。純文様として見なすしかないが、同一文字を一周並べたと解釈できないことも無い。鮨屋の湯飲み茶碗の全面文字装飾が違和感無しに通用している以上。
#022≪口≫【回/囬】㊎🆂:轉[中象回轉形]spiral→rotation

しかし、一般に用いられるカミナリ文字は雨冠に田という字体でかなり異なった様相を呈している。
{田x3}は回轉形ということで、それなら回でよさそうに思うが、田にこだわったことがわかる。"雷"は収録していないから、小篆創成段階ではそこまでの省略は行われなかったのだろう。
一方、もともとは雨には無関係な文字であって、回が元であると言わんばかりに、{田x2+回x2+田x2}という文字が並んで紹介されている。
#422≪雨≫【雨】:水从雲下[一象天 冂象雲 水霝其鐓rain
  #422≪雨≫:陰陽薄動靁雨 生物者[雨 畾象轉形]
  #___≪_≫[神鳴/厳っ靈]:n.a.
     (古)[⊕x4+@x2]  ㊎[⨂x4+{∫+━}] or [X+⊕x4]
            🅱[⊕x2+先枝分かれS]
       #422≪雨≫餘聲 鈴鈴 所以挺出萬物
       雊:雄雌鳴 始動 雉鳴而雊其頸

・・・Rotationということでの"回"起用ならわかるが、"田"とは一体なんなのか、ということになろう。

後世のカミナリ様の様相からすれば、背負った電電太鼓ということになるから、そこだけ見れば成程感はあるものの、閃光的動きではなく、落雷音へと重視点が変更になったことになる。
ただ、その場合、"田"≒"鼓"は現代人の象形センスでは成り立つだろうが、文字が違い過ぎて無理筋に思える。
轟音を響かせるという意味で用いたのなら"車"の方が似合う。古代の車とは戦車であり、多くの車が攻勢をかけて騒がしくなった情景の凄まじさはピッタリな感じがするからだ。ただ、文字上は、車輪に車台が付くので、字体が{⨂x3}のみにははならない。しかしながら、回転コンセプトを引き継ぐならこれしかなかろう。それに、"x3"なので、"x4"タイプの𩇓や𰣞と親和的でないし。
#498≪車≫ 轟:羣車聲 blast("bang")

"田"は、一般的には田圃を意味しているから、恵みの雨の前兆現象と理屈をつけることもできるが、雨冠をつけた時点での解釈変更であって、意味上で太鼓に繋げるには飛躍ありすぎ。回とは無縁だろうし。
#484≪田≫【田】:陳 樹穀曰田[四囗 十…阡陌之制]
         a field divided into four sections
#___≪_≫ 畾 :n.a. fields divided by dikes(or soil margin)
・・・単体文字でよく使われる文字では無いから、field系の文字では無い可能性もある。(例えば、土嚢とか。)
以下の用例は雷鳴としか思えない訳だし。
    殷其畾 在南山之陽[「詩經」國風 召南 殷其畾]
   #≪木≫:龜目酒尊 刻木作雲雷象 象施不窮

こうした状況を眺めると、小篆創成官僚は、全く出自が異なる言葉でも、大胆に同一規格部品を用いる方針を採用したことになろう。この程度で字義を間違うようでは、王朝官僚として失格とされることになる。
ともあれ、一貫性を感じさせるデザインの部品で文字を形成し、異体字当たり前の社会文化を一変させよう、との強い意志を感じさせる展開だ。

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