■■■ 小篆文字検討@「說文解字」「爾雅」[虎]■■■
虎の甲骨文字は、見た瞬間、強い感動を覚える。
  #168≪虎≫【虎】🅱tiger
呪術時代の文字創成官僚の知性と感性、そしてその精神性には、ただただ感服。

もっとも、それは現代社会の文字の役割の眼鏡から眺めた当然の結果というだけのことかも。

現代文字はデザイン詳細バラエティ化が進んでおり、カラー化に突き進んでいるものの、トラを文字化したE-moji🐅は、生態的特徴ゼロで、いかにも縫い包み然としている。しかし、現代社会的には優れた字体と言えよう。知られているのは、動物園の(野生回帰不可能な)トラ君であり、地域飼育の家猫同様に、ペットとして、愛称をもって接触すべき対象だからだ。
野生のトラとは画像を通して覚えさせられた存在でしかない訳で実感などあろう筈がない。

「爾雅」の記述から見て、クマに優るピカ一の豪力発揮動物の地位は確定していたようだ。但し、それより強い1種が存在している。おそらく獅子(lion@天竺)
竊[淺]毛謂之
  貘 白豹
 甝 白
 虪 K
  貀 無前足
  鼳 鼠身長"須"而賊 秦人謂之小驢
 熊 醜  其子狗  絶有力麙>
<猰貐 貙 爪 食人 迅走>
<狻麑 虦貓 食豹> =狻猊

ところで上記の記載は、この全身線画描写の甲骨文字が、楷書文字の"虎"になったというのが、大前提。
マ、それはそうなのだが、今一歩、しっくりこない。

それは、「說文解字」の小篆🆂を眺めるからで、ここから楷書の"虎"になる流れはまず間違いないだろうが、これが甲骨からの発展形には見えないからだ。
小篆成立の時点でコンセプトが変わったか、別文字系統に切り替わったのと違うか。

そんなことをついつい考えてしまうのは、「說文解字」が字体の系列を細かく提示していて、この文字は<ケモノ>のグループに属している訳ではなく<祭祀>系と示唆しているせいもある。・・・
   ┌言─音─䇂─菐─又─攴─
 ─口
   └喜─壴─豆─䖒─虍──虤

この文字には異体字もあり、そうした流れがありそうな気もしてくる。
≪虍≫[公]_____([俗]pattern of tiger fur)
 虎(_)[leg]
 虎(𮓙)[a person]
 𧆞(𮓜)[cloth]
≪鹿≫
 𪋕
≪虎≫
 虝[示+彡]

甲骨の文字構成とは、head上-tail下。
これを繋ぐのが、三爪の2legs(4足ではない。)付の縞模様body。
一方、小篆は、上の"虍"は大げさな開口状態描写のheadで、下から"几"というヒト的二足が支えている形。
つまり、トラ模様の胴体は大胆に捨象され、トラ爪の存在も無視されたことになる。重要なのは、鋭い牙歯が並ぶ食肉開口部。頭部だけで十分な意味ありとして胴体も尾も消滅させられている様に見える。

これは、羊トーテムの角帽部族"羌"を想い起させる字体でもある。もともと、sheep文字とは胴体も尾もない頭部のみ。それが正式な生贄の姿といえよう。(羊はケモノではなく、祭祀用に飼育された畜。)
と言うことは、トラ頭部🐯も同様に扱われた可能性は高い。ただ畜化は無理だったが、従前通りのケモノであっても、ケモノとは異なる特別な存在と化したことになろう。
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