■■■ 小篆文字検討@「說文解字」「爾雅」[瀕]■■■
巻八の"㳄"から巻十一冒頭の"水"に一挙に飛んで繋がるという系譜見立てをした話をしたので📖㳄欠、承前的に。

水文字グループを包括的に取り上げたいので、どうしても冒頭の<水─沝─瀕>を採り上げたくなる。字体系譜論であると叙に書いてあるだけに、どう瀕へと続いていると読めばよいのか戸惑う。しかも見慣れぬ文字だから、意表を突かれた感あり。・・・

#410
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#411沝       #413〜7𡿨巜川泉灥

#412:水香@人所賓附 頻蹙不前而止[頁+涉] :瀕
      【臣鉉等曰:今俗別作水賓 非是】
   顰:涉水顰蹙[頻+卑]聲
    (𨽗)≒濱/(濵)/浜/滨/(𣴩):n.a.
     【"濱" 字義】
     瀕 濱の字形は、もと水辺の儀礼を示すものであり、
     古く水辺で行われた葬送の俗を伝えるものであろう。@「字通」
      …水際での殯の意味だろうか。
・・・これだけのこと。
これだけだから、かえって<水沝瀕𡿨巜川>で"瀕"がナンデカナ役として目立つことになる。字体論者は当たり前の様に<𨽗濱>にも触れることになろうが、読者からすれば、普通ならフーン事項。
しかし、「字通」の書き方が気になるから、"一応"、そこに足を延ばすことに。(甲骨は無いのかも。)

一般的解説では、"濱"の本義は水辺。引伸で辺境になると。ただ、それは涯的地らしい。
   于以采蘋? 南澗之濱 于以采藻? 于彼行潦
         [「詩經」國風 召南 采蘋]
辺境と云うよりは、地の果てかも。おそらく、その概念が地誌観から辺境という意味で使われることになっただけ。
   溥天之下 莫非王土 率土之濱 莫非王臣
         [「詩經」小雅 谷風之什 北山]
さらに、濱は瀕の寫作と記載されていたりも。しかしながら、そこらの解説が見つからず、実態不詳。無視するしかない。

こんなことをわざわざ調べるのは、「說文解字」が"濱"非収録だから。
以下に字義を整理してみたが、小篆創成官僚の仕事とは思えなかったからかも。
あるいは、濱≠瀕の可能性が高いにもかかわらず、同一視記載にするしかなさそうなので避けたか。
【"瀕" 字義】:水
 ①湖河海の"水邊"で立つ
   …元義 字体構成から。
       [水+{止步}(不前之形)+頁(人)]
 ②涉水("顰"の釈義) ["涉"は項目文字扱いされていない。]
   …<顰⇒[簡略]瀕⇒[省]頻>と見るようだ。
    但し、潛:涉水なので、不適な印象を与える。
 ③安船溝
   …涯滨(両岸酷I場所)
     涯:水邊
 ④上帝に"近づく"@金文
 ⑤"瀕史"…[推定]周王后近侍の職官名@金文

・・・これではどれを見ても<水沝瀕𡿨巜川>系譜話に繋がらないから、お手上げになりかねないが、ここに異体字情報を加えると一変。・・・
  涉/渉/𣥿/㴇:n.a.
涉とは水三疊字でもある。
従って、瀕≒涉と見なすと、上記の系譜は<水─沝─㴇─𡿨─巜─川>という字体の繋がりになる。「說文解字」金科玉条主義者の仕業という気もするが、水を上下で挟む𣥿が存在しており、イメージ感としてもともと存在していた可能性が高そう。
ここらの感覚は、必ずしも万人が共有できる訳ではないが、儀礼に係る"水"文字との白川論は正鵠だと思う。

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