表紙
目次

■ 分類の考え方 2015.2.25 ■


「生物5界」の代替観を考える

まさに植物の葉っぱという印象のエメラルドウミウシによるウチワサボテングサの葉緑体取り込みのお話から生物の大分類についての見方へと話が広がってしまった。
   "「生物5界」観はわかりにくい" [2015.2.22]
動物が藻類の遺伝子を取り込んでいるとしたら、今迄の生物分類とは、地動説のようなものかも。「5界」とは、ご都合主義的なものであって、なんの思想性も無いものに映る。

そうなると、どのように分類すべきか考えたくなるが、暗記を強制されてきた頭では、対応は難しい。それに、素人の悲しさでさっぱりアイデアが湧かない。
しかし、それなりに整理することはできるかも。

この場合重要なのは、葉緑体の発祥元生物をはっきりさせることだろう。つまり、葉緑素を持つ生物とは、光合成細菌(シアノバクテリア)を細胞内に取り込むことに成功したにすぎないとの見方。
同様に、ミトコンドリアについてもはっきりさせる必要があろう。

そうなると、こういうことか。

┌─[無外膜]頑丈細胞壁細菌(フィルミクテス)
 (腸内細菌,皮膚常在細菌,等)
├─[無外膜]放線型細菌
 (土壌細菌[抗生物質生産細菌],等)
┌─┤<真正細菌>
├─スピロヘータ、クラミジア、
 緑色硫黄細菌・・・酸素発生型光合成
├─鉄系好熱細菌
├─緑色非硫黄細菌・・・酸素非発生型光合成
├─藍色細菌(シアノバクテリア or 藍藻)葉緑体
└─紅色細菌(プロテオバクテリア)
 α
  (光合成性細菌)ミトコンドリア
  (C1化合物代謝細菌)
  (動植物共生体)
  (リケッチア,等)
 β(アンモニア酸化細菌,等)
 γ(腸内細菌,ビブリオ,シュードモナス,紅色硫黄細菌,等)
 δ[偏性嫌気性](粘液細菌,硫酸還元細菌,黄還元細菌,等)
 ε(ヘリコバクター,カンピロバクター,等)
 ζ(鉄酸化細菌,等)
 オリゴ(砂礫棲息菌)

│↑非柔軟細胞壁
<仮想原始単細胞生命体>
│↓柔軟細胞壁

┌─メタン菌、
 過酷環境棲息細菌(高塩濃度/強酸/強アルカリ)
│┌┤<始原(古)細菌>
││└─超好熱菌/好熱菌、極低温棲息菌
└┤
│↓有核化(外部DNA取り込み体制)

こうならないらしい。
┌ランブル鞭毛虫
┌┤<無ミトコンドリア単細胞有核生物>
│└トリコモナス
│↑退化(ミトコンドリア喪失)

└─ミトコンドリア取得単細胞生物群>
当然、有核(真核生物)となる。
│↓進化

要は、核があるか無いかは本質的な分類の視点ではないということ。
2種類の生物が一緒になるなら、DNAを混合したハイブリッドかブロック入れ替えのキメラがわかり易いが、種が離れればそれは不可能。従って、隔壁を作って、両者のDNAをそのまま同一細胞内で同居させる手しかなかろう。それが核であり、小胞体ということ。

この同居を可能にするためには、堅固な細胞壁ではとうてい無理。そこに登場したのが、取り入れ可能な壁の始原(古)細菌とはいえまいか。要するに、特殊な始原(古)細菌が、特殊な真正細菌を取り込んで、ミトコンドリア取得単細胞生物こと、真核生物に変身したという見方。補食とか共生というよりは、特殊な真正細菌が柔軟な細胞壁の始原(古)細菌に感染したという言い方の方が妥当ではないか。極めて感染力が強く、感染を免れたのは、細胞壁が丈夫な真正細菌と、当該真性細菌が生き延びれないような過酷な環境で生きている始原(古)細菌だけ。
こんな見方をするなら、この一番重要な分岐を外す訳にはいくまい。と言うより、原核(無核) v.s. 真核(有核)の2大分類でもかまわないのである。
両者を「無核」としてまとめてしまう、下記に示す様な「5界」区分の発想は分類論としては拙かろう。・・・

┌───原核生物(モネラ)
ミトコンドリア葉緑体の放出真核生物との共生化
│↑無核単細胞

│↓有核(真核生物)
│┌──原生生物
└┤
│┌─植物
└┤
├─

└─動物

それなら「6界」にすればとなりかねないが、問題はさらに深まる。「真核生物」の「4界」がこれまた問題児だからだ。分岐のシナリオが全く浮かばなくなる概念なのである。つまり、以下のようにしか見えないということ。

┌───無核単細胞生物(ごちゃまぜ)

│↓有核化
│┌──有核単細胞生物(ごちゃまぜ)
└┤
│↓有核細胞組織化(単細胞も入ると意味不明に)
│┌─植物系
││↑"真"の葉緑体取り込み
└┤
│↓無葉緑体のママ
└─菌、動物、等(ごちゃまぜ)

ここらの話は別途。

 (C) 2015 RandDManagement.com