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魚の話  2006年3月3日
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かれいの話…

  路地多し 到るところに 鰈干す  金子兜太

 左平目、右鰈といわれる。どちらも、眼が一方に偏っているのである。
 食べる分には、どうだろうとかまわないが。
  → ひらめの話  (2006年1月13日)

 とはいえ、一尾をそのまま皿に盛るとなると、厄介である。理由は知らぬが、ご飯は左、お味噌汁は右、お頭付きは左向きとされているからだ。これらを逆にすると縁起が悪いとされる。
 ところが、カレイの場合は目の方を上にすると、右向きとなり、逆になってしまう。これが嫌なら、目を下にするしかない。腹を上にしているような感じになる。

 まあ、こちらも、どうでもよいことかもしれないが。

 それにしても、不思議な魚である。稚魚は普通の魚と体型が同じで、眼も左右に位置しているからだ。
 ところが、成長すると、突如、平たくなり、眼が頭上を通って片側に動いていくそうだ。

 なかには、頭の真ん中を突っ切って移動するものもあるそうだが、とても信じがたい。まさか、目玉が脳を横切る訳ではあるまい。
 ともあれ、仔魚の生態解明が進んでいるから、遠からずこうした変態の本質が解き明かされると思われる。

 すでに大きな成果があがっている。

 カレイの稚魚の餌がはっきりしたのである。(1)
 おたまじゃくし形状の動物性プランクトン、「オタマボヤ(尾虫類)」を食べているらしい。海中に浮遊しているホヤの幼虫らしいが、この餌が曲者のようだ。

 実は、似た例が発見されているのだ。
 同じく、変態では超有名な、ウナギの稚魚(レプトケパルス仔魚)の消化管に、オタマボヤの殻のゼラチン質が残っていたのだ。透明なので、今まで気付かなかったらしい。(2)

 片方だけなら、ほ〜、そんなものを食べているのか、というだけでしかないが、変態の東西の横綱の稚魚が食べているとなれば別である。
 素人から見れば、変態をおこすきっかけとなる物質が、このプランクトンに含まれていそうな感じがする。仔魚変態の研究者達の次なる発見が待たれる。
 結構恐ろしい話が出てくるかもしれないが。

 --- 参照 ---
(1) http://www.fish.hokudai.ac.jp/news/open/2004/takatsu.pdf
(2) 望岡典隆「ウナギのふるさとをさがして」 福音館書店 2005

 --- 訂正 ---
「ご飯は左、お味噌汁は右」のところを、逆に書いてしまいましたので、上記を書き換えました。
ご連絡によりますと、逆の地方もあるとのことです。


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