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1999.12
 
 


コンピュータ分野での力量…

 「コンピュータ技術で日本は決定的に弱体」と言うと不思議と反論がくる。「技術力でなく、政治力やビジネス構築力が弱いだけ」との主張だ。

 確かに、パソコン業界で直販により急成長したデル・コンピュータを見れば、97年から99年にかけて研究開発・エンジニアリング費用が売上の1.5〜1.6%程度しかなく、技術志向には見えない。イノベーティブであることは、皆認めるが、先端技術で成功した訳でもない。
 しかし、こうした例があるからといって、日本企業の研究開発力が高いとはいえまい。
 80〜90年代に、米国で登場したほとんどの先端パソコンの生産を手がけていたのが自分達だったから技術が優れていると思っているだけではないのか。確かに、当時は、スマートな製品作りは米国企業にはできなかった。
 ところが、最初は利益率も高かった事業だが、次第に利益が圧縮され、受託できなくなってしまう。とはいうものの、高度なものの場合は、相変わらず日本企業に依頼してくるから、技術力があると考えてしまいがちだ。しかし、このようなモノ作りだけでは、情報技術の世界では落伍者と見るべきではないか。

 この分野で重要な技術とは、プラット・フォームをつくり上げることだ。ここで、日本企業が貢献できる技術があるかどうかで技術力を判断すべきである。

 一寸、眺めてみよう。

 パソコンのプロセッサと骨格設計、サーバのプロセッサと骨格設計、及びこれらのOS、どれをとっても、ほとんど関与できていない。
 ネットワーク技術でも、ネットワークのアーキテクチャーと対応機器、ネットワークの接続/管理手法と対応機器について、日本企業がリーダーシップを発揮する余地はほとんど無い。
 その上、こうした仕組みを動かすE-ビジネスの運営(サーバOS対応)やウエブ・サイト設計・ネットワーク設計でも新しい考え方を提案できる根拠は見えない。

 ということは、日本企業の研究開発は、こうした基本技術を日本国内に移し替えて稼動させるための業務を担っているにすぎない、といえよう。そうなると、一見ユニークに見える商品も、日本独特なシステムのため、海外企業が作ろうとしない分野の製品でしかない、という可能性さえある。


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