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2000.6.5
 
 


SNPの薔薇色分野…

 SNPによって疾病に関与する遺伝子が見えるとしたら、とてつもないインパクトを与えることになる。漫然とした、包括的なSNP研究では成果は期待薄だが、疾病を狙って検討するなら、部分的な情報を繋ぎ合わせるだけでも、解決策が生まれる可能性が高いからだ。

 日本でこうした研究をすすめようと図る製薬企業は見たところ1社だけのようだ。こうした分野では、データの蓄積がなければ、そもそも研究ができない。データ収集には膨大な金がかかる。当然ながら、データ入手は高額な出費を伴う。それだけの、覚悟をしても研究開発を進めようとする日本企業はとてつもなく少ないということだ。

 欧米企業はSNPのマッピングに熱心である。循環器系疾患と癌といった大型疾病分野で生き残るには不可欠な技術と考えるからだ。この分野は、すでに70年代の研究で単一の遺伝子で問題が解明されないことがわかってしまった。多数の遺伝子が複雑に絡み合う疾病であり、タイプも分かれていると推定されている。しかし、その内実を理解するデータが揃っていなかった。

 当然、世界の研究者・ベンチャーはこの分野に関心を示し、多数のプロジェクトが動いている。
 しかし、製薬企業にとって、自社でデータを収集したり、ベンチャーからデータを購入し続けるのは、極めて非効率である。この状況を突破するため、大手製薬企業10社は代表的な研究機関5組織と一緒に、SNPコンソーシアムを結成した。設立ファンド自体は4500万ドルと小粒だが、利用方法や技術とデータの価値を決定するヘゲモニーを握る仕組みができつつある。純アカデミズム研究なら、こうしたコミュニティにかかわらなくとも意義はあろうが、産業技術の視点からいえば競争力発揮は難しくなるといえよう。


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