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2000.6.30
 
 


バイオ・プラスチックの本格商用化の先鞭は米国…

 カーギルとダウの合弁企業がネブラスカ州ブレア工場でコーンから作るプラスチック(PLA:ポリ乳酸)を2001年末には本格生産できると発表した。3億ドルの投資と言われる。まだ紆余曲折はあろうが、ここまでこぎつけた力は相当なものだ。(http://www.sightings.com/politics6/corn.htm)

 昔から、生分解性プラスチックや農産物由来のプラスチックの研究は数多くなされてきたが、商用化の見込み薄の基礎研究が多かった。このようなプラスチックは高価だから、とても採算がとれまいと長らく言われてきた。しかし、ついに商用化できるようになったようだ。

 素材から考えれば絹のような繊維が提供される事業になるのだろうから、そのレベルのコストが実現できる目論見といえよう。今迄難しかったのが、可能になったのは、プラスチック製造技術の進歩だけではあるまい。事業の新しい枠組みを構築することで、この技術が生きてきたと思われる。種苗業者、農家、農産物加工業者、化学企業の協力体制が、ここまで引っ張ってきたと見るべきだ。挑戦を好む米国の風土を活かして、参画者すべてをWin-Win関係で組織化したのである。

 コーン生産農家(NCGA)は早くからPLA用途開発に関心を持っており、商務省の研究補助金等を獲得して早く商用化するようにカーギルに働きかけていたと言われている。
 すでに、コーンからの乳酸製造は工業化されており、工業原料化は農家の市場開発としては有望な分野なのだ。プラスチック用途が開ければ、エチルアルコール用と同じ位の市場があるから熱心にもなろう。米国の農家は事業家でもあるから当然だ。
 このような動きに応えて、ウエットミリングタイプの工業用種子の開発も順調に進んでいる。遺伝子工学により、この用途に適当な品種も用意されることになろう。種苗企業にとっても、嬉しいビジネスだ。

 産業間での連携がうまくいくと、大きな新産業が生まれる典型例といえよう。イノベーションは技術から生まれることが多いが、技術を生かす仕組みが総合的に揃わないと、利用は遅れてしまう。この技術が日本で産まれていたら、どうなったであろうか。


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