↑ トップ頁へ

2000.7.5
 
 


パソコン向液晶ディスプレー産業の核は韓国と台湾…

 液晶ディスプレーの市場分析では定評があるDisplaySearchが2000年5月に台湾でセミナーを行った。ここで同社の代表が、台湾の液晶ディスプレー産業の発展について大胆な予測を発表した。(http://www.displaysearch.com/index.html)
 良く知られているように、台湾企業は98年より設備投資を積極的に進めている。設備不足とリスク低減との名目で、日本企業が関係している案件も多い。ところが、この動きは一過性ではないし、一段落した訳でもないという。2005年までは、毎年投資が続くとの予想が出された。
 といっても、99年の台湾の生産キャパシティのシェアは数%程度だ。
 衝撃的なのは、予測値だ。2003年は韓国勢を追い越すという。あくまでも「予測」だが、そのムードがあるのは確かだ。とてつもない生産能力が増強されるkとになるから、CRTの価格低下を上回る勢いで、低価格化が進むと見るべきだろう。そうなると、コスト競争力弱体メーカーは淘汰される可能性が高い。2000年後半から激烈な競争が始まる訳だ。

 一方、比較された韓国勢はといえば、積極的な展開を進めて市場を席捲している最中だ。台湾が、これから数年で、この動きを凌駕するというのだから驚きである。

 韓国液晶ディスプレー企業は99年、絶好調だった。ちなみに、2000年第1四半期のサムスンとLGフィリップスのノートブック用ディスプレーの合算シェア(金額)は44%である。

 こうした、韓国企業の成功を、果敢な設備投資の姿勢だけで評価するのは間違いだ。例えば、サムスンの飛躍は、的確なパネル大型化のロードマップが原動力になっている。上位世代で先行して、コストダウンで差をつけるというDRAM競争のマネジメント経験を生かしている。明らかに、常時、業界ナンバー3以内が必須条件との戦略だ。
 99年のノートブックパソコン市場でのリーダーは、小型がソニー、中型がIBM、大型がDellだった。サムスンはこれに対して、定石通りの動きをとっている。Dellを最重要顧客と考えて動いているからだ。この関係を強力にすることで、大量生産・低価格化を図るのだろう。2000年に入り、15インチのプライス・リーダーの地位を獲得したといえる。

 ここまでなら、15インチの低コスト競争に明け暮れているイメージが強い。
 ところが、実態は違う。2000年後半から急速に伸びると見られる17インチ製品で先行しているのだ。実は、これが、将来のポジション獲得の鍵である。この先行している、「一歩」は極めて価値が高い。17インチの価格を15インチ並に引き下げることは、そう難しくはないからだ。基板の大きさは、現行の製造装置を考えれば、17〜18インチが効率上最高だ。ところが、解像度は15インチでは1024×768が精一杯だが、17〜18インチでは1280×1024とかなり上昇する。差は歴然とする。一方、これより上のサイズは、基板取りを変える必要がありコスト構造が変化から、コスト低減は短期間には実現が難しい。従って、今のままなら17インチが液晶ディスプレーが当面の標準となる可能性が高い。
 従って、17〜18インチ製品で一早く生産し大量生産に踏み切る意義は極めて大きい。歩留まり向上の経験カーブを適用するなら、大量生産可能な先行者は圧倒的なコスト優位に立つことになる。装置の抜本的変更や画期的製造方法を考え出さない限り、15インチメーカーは苦しくなろう。

 ノートブック用で優位に立つことができれば、次のメインターゲット市場は必然的にTV用フラットディスプレーとなる。高額なプラズマディスプレーの市場は小さいから、低価格化を急速に進めるのは容易ではなかろう。それに比較すれば、すでにユーザー市場がある液晶のポテンシャルは大きい。17インチを家庭用価格に下げれば、液晶TV普及は時間の問題といえよう。すでに、サムスン・ブランドの液晶TVは日本で上市済みである。(http://www.samsung-shop.eins.ne.jp/html/shosai.html)消費者の認知が進めば、日本市場へも韓国製品が深く浸透する可能性は高い。


 技術力検証の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2004 RandDManagement.com