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2000.10.1
 
 


航空・宇宙産業のアライアンス…

 コンコルド事故の映像は衝撃的だった。
 原因はともかく、未だに、あの古い設計のコンコルドを飛ばし続けなければならないことに驚いた人も多いようだ。

 しかし、コンコルドのレベルで驚いてはいけない。
 なかには、製造元がサポートできなくなっているような飛行機が現役の国がある。部品調達できないと思われるが、頻繁な運行体制をとっている。タブーなのか、関心が薄いのか分らないが、この問題を語る人は少ない。

 こういった航空機使用は流石に先進国ではありえまいが、どの国も機体の老朽化がかなり進んでいる。
 航空機の代替時期が迫っている。そうなると、世代替わり時期を狙った、技術革新を図る大胆な動きがあってもよさそうなものだが、そうした動きは弱い。基本的には、現行技術踏襲型の新型機のようだ。軍事向け開発費縮小も伴い、この分野での本格的開発はリスクが高く、経営的に難しいのだろう。

 このような環境下であるから、ボーイングの動きに象徴されるように、設計コスト削減と質の向上を狙った、IT技術を生かせるCADシステム作りが技術政策の焦点である。その結果、航空機産業は革新的なCADシステム(ソフトや運用の仕組み)のリーダーになった。

 CADソフト開発企業の国籍は米国とフランスである。当たり前だが、CADユーザー(設計者)とソフト開発者(プログラム開発)は機密な連携が重要だ。いち早く仕組みをつくり、運営の標準を作った企業がヘゲモニーを握る。
 日本の重工業メーカーには、こうしたソフト開発者との連携では、大きなハンディがある。従って、設計システムでは常に後塵をあおぐことになる。開発費用負担・作業分担だけでは、この状態を脱することはできまい。

 日本企業の強みは、民生で鍛え上げられたエレクトロニクス部品応用に限定されつつある。
 技術競争力強化には、欧米企業との包括的な開発体制が不可欠といえよう。


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