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2001.3.27
 
 


ベクトル型スーパーコンピュータ分野での独占的地位…

 2001年2月28日、NECは5テラフロップスの世界最速ベクトル型スーパーコンピュータをクレイにOEM供給すると発表した。クレイは米国、カナダ、メキシコでは独占的に、欧州その他地域では非独占的に販売することになる。(http://www.nec.co.jp/japanese/today/newsrel/0102/2801.html)これで、日本企業だけしかベクトル型コンピュータ開発を手がけなくなる。

 かつての日米貿易紛争で、日本製のスーパーコンピュータには高額関税が課せられることになり、日本からスーパーコンピュータが輸出できなくなった.。この紛争がようやく終わりを告げる。この間に日米の競争力の状況も、技術も、大きく変わった。
 米国企業はIT分野での優位性を確保した上、ベクトル型コンピュータ開発には興味を失ったのである。

 日本企業がベクトル型スーパーコンピュータ分野で独占的地位を獲得したのだが、競争力が向上したとはいえない。

 米国のコンピュータ企業はベクトル型ではなく、クラスター型に注力している。
 1チップ上に多数のCPUを搭載し、数多くのチップを動かす構造が優位と見ているのだ。クラスター・ソフトさえ確立すれば応用開発は柔軟に進めることができるし、ネットワークにも適応し易いクラスター型を本命としている。ハード開発には高度な技術が必要な上、ソフト開発にもてこずるようなベクトル型を避けたといえよう。純技術で先端を走るより、結果を早く楽に出せる、実利を重視したのだ。

 クラスター型の開発なら、自社の汎用CPU開発部隊の成果を有効活用できるIBM、サンといった企業が優位に立つ。実際、市場シェアではIBMがトップで、サン、コンパック、SGIといった企業がその後を追っているようだ。昔は、クレイはスーパーコンピュータの代名詞だったが、今や、かつてのクレイのような特殊製品は魅力が薄い。
 日本のコンピュータ・メーカーは、他社品CPUにすれば優位性は発揮しにくいし、自社CPU開発では投資がかさみ回収見込みは薄くなる。極めて、苦しい立場に追いやられている。
 といって、市場の主流でないベクトル型に注力しても、ソフト開発者が少ないから、応用分野拡大はかなり困難と言わざるをえまい。ベクトル型で生き残るには企業の大合同が必要な時代に突入したと考えるべきだろう。


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