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2001.10.5
 
 


ケータイ日本規格の足枷…

 良く知られているように、欧州の携帯電話の規格はGSMである。一方、米国の携帯はCdmaOneが有名だが、市場にはアナログが半分近く残っており、CdmaOne以外にも2つ規格が存在するなどバラバラである。一方、日本のケータイだけは独特な規格である。第3世代では世界で規格統一を、という声が強かったが、結局は実現できなかった。

 従って、機器メーカーは、グローバルな存在感を示すために、規格毎に機種開発を進める体制を敷かざるを得ない。日本市場は大きいとはいえ、日本向けの機器開発だけを進めていれば、マイナーな存在に落ち込む。世界に先駆けた日本の第3世代携帯への対応が優れていても、この技術は海外市場に直接転用できない。国内向けに力を入れすぎれば、グローバルな競争力を失いかねないのである。

 世界市場で見れば、GSMとCdmaOneの機種開発体制での優劣が、メーカーの競争力を決めるといえよう。特に、前者での競争力が重要だ。非欧米勢にとっては、欧州規格GSMに対して、どのような姿勢で戦うかが、これからの飛躍を左右すると考えられる。

 このような見方は極く自然なものと思うのだが、日本企業はGSMで存在感を高める動きをとっていない。一方、挑戦的姿勢を明瞭に示したのがサムスン電子だ。2000年の米国市場では売上1位と言われており、すでに市場での強固な地位を築いているのだが、さらにGSM機器の開発体制構築でも先鞭をつけた。

 2001年5月21日、欧州向けGSM機器の品質チェックを自社ラボ(英国に設置されたEuropean Quality Assurance Lab.)内で行える体制の承認を認証機関UKASより得たと発表したのである。(http://www.samsungelectronics.com/news/telecomunications/com_news_1001030262921 _0015500.html)さらに、引き続いて、9月21日には、北米についてもPTCRBから承認を得たと発表した。これで、世界市場向けにGSM900/1800/1900をスピーディに開発できる体制が完備したことになる。  (http://www.samsungelectronics.com/news/telecomunications/com_news_997070535562_001500.html)

 ノキア、モトローラ、サムスンの3強体制が決定したといえよう。
 国内規格用機器開発に多忙な日本企業は、GSM承認取得体制を自社内に構築する余裕さえないようだ。


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