↑ トップ頁へ

2002.7.9
 
 


ロジック市場の競争激化…

 DRAMでは後発に追い抜かれ、CPUやDSPでは米国勢に圧倒され続けているが、日本の半導体産業には底力があるから、必ず復活する、との話を聞かされることが多い。
 マイコン搭載家電機器、プレイステーション2、デジタルテレビ、デジタルビデオなど、日本には優れたエレクトロニクス製品があるから、この強みを活かせば日本の半導体は飛躍できるという論旨なのである。
 要は、専用の半導体(ASIC)では、今もって日本は強いと言いたいのだ。

 しかし、「ASIC強し」の時代も長くは続かない可能性が高い。
 プログラマブル型(PLD/FPGA)の領域が急拡大しているからだ。プログラマブル型は専用品開発より、ソフト資産の活用がしやすく、短期間開発が可能である。技術変化が大きく仕様変化が頻繁だったり、ニーズに応えて新製品多数を上市する場合には、便利である。しかも、かなり高度なプログラムにも対応できるようになってきたから、ASICからプログラマブル型に移行する流れは極く自然なものといえよう。
 実際、2002年に入り、CAST社のオーディオ・ビデオ関係のIPを利用することで、デスクトップ・ビデオ編集、デジカメ、セットトップボックス/デジタルテレビ用途への展開も簡単になってきた。 (http://www.xilinx.co.jp/prs_rls/end_markets/0238cast_dvtcores.htm)

 PLD/FPGA市場は、80年代に生まれた設計専業ベンチャー数社の競争の世界だ。今では、ザイリンクス、アルテラの2社だけで7割以上のシェア。いったん特定のプログラム方式に馴れてしてしまえば、新方式は敬遠されるから、寡占化しやすいのだ。このような市場では、日本企業が得意とするキャッチアップ型展開は無理である。

 特に、ザイリンクスの力は図抜けている。半導体不況時にも解雇せずに、研究開発を続行したので、その成果が続々と生まれている。
 しかも、早くから台湾のシリコンハウンドリーUMCに300ミリウエハでの製造委託を決めており、プログラマブル型で高成長を図る戦略を明確にしている。2002年6月に発表された同社年次報告書では、2003年度末には5割が300ミリウエハという。製造コストでも、優位に立つことになる。プログラマブル型で市場を席巻しようとの目論見だ。(http://media.corporate-ir.net/media_files/NSD/XLNX/annual2002/ar02/letter.htm)
 ガートナー・データクエストのASIC市場調査データでは、ザイリンクスは、欧州1位、アメリカ地区ではIBMに次いで2位だ。ちなみに、NECのシェアは7.8%で、ザイリンクスが7.2%である。


 技術力検証の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2004 RandDManagement.com