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2002.7.12
 
 


医薬品研究開発の変化…

 医薬品開発費用はうなぎ上りである。2002年に発表された数値によれば、1品平均で8億ドル以上、10〜15年かかかる。(http://csdd.tufts.edu/InfoServices/OutlookPDFs/Outlook2002.pdf)
 巨額の資金調達のために、企業が巨大化するのは自然の流れといえよう。同時に、効率良い研究開発が不可欠となるから、特定機能に特化したベンチャーが増える。

 素直に読めば、医薬品メーカーとして、グローバルな競争力を保つには最低年間研究開発費用1000億円が必要と考えられる。

 しかし、これだけ巨大化すると、競争力は金額の規模より技術マネジメント体制の方が重要になってくる。
 もともと、時間のファクターが収益に大きく効くから、熾烈な開発迅速化競争を繰り広げてきた業界だが、今や、細かな効率化より、失敗確率を下げ、失敗をできる限り早い段階で確定するマネジメントが重要になってきた。
 この観点で、外部の優れた技術を活用するアライアンス(提携)は不可欠である。この体制がとれない企業は時代の波に乗れず、急速に衰退していくと予想される。

 この潮流が進むということは、大型「ピカ新薬」(Blockbuster)戦略が岐路に立たされることを意味する。能力が活かせる特定疾病領域やニッチ分野に絞り込む方が有利になるからだ。
 すでに、FDAの方針に沿って、オーファン(患者が少ない難病治療)や優先認可を狙った開発は90年代後半から急速に増加しており、流れは始まっている。
 その上、DNA診断技術も急速に進歩してきた。疾病マネジメントが進むから、従来の大市場領域で「ピカ新薬」が登場することは極めて難しくなる。逆に、今まで投薬量が限定されていた領域が、技術進歩で使用量が増大するから、小さかった市場が急成長する可能性がある。こうした読みを、早くから進めていた企業と、今から対処する企業の差が、数年後に見えてくる。

 ほとんどの日本企業が研究開発費を増やしているが、こうした観点で見ると、競争力が維持できそうな企業は極く一部といえそうだ。


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