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2002.7.18
 
 


次世代メモリーの動きが急だ(3)…

 MRAMはこれからの製品だが、FRAMはすでに実用化済みだ。次世代不揮発性メモリとして、日本の代表的メーカーほとんどが手がけている。

 「メモリーのイノベーター」と自称するRAMTRONは2001年に256KのFRAMを上市しており、売上が急速に伸びた。2001年第1四半期は僅か75万ドルだったが、2002年第1四半期の売上は460万ドルに達した。(http://www.ramtron.com/press/news/020418_1q2002_results.htm)対象市場は2002年が電力メーター用途中心の5億ドル弱だが、2003年には3倍になるとの予測を示している。テレコム市場開拓の見通しはまだ立っていない模様だ。

 流石、イノベーターと誇るだけあって、すでに16製品をラインアップしており、圧倒的に先を歩んでいる。このため、ライセンス先は、インフィニオン(資本参加)に加え、日本の大手、富士通、日立、ローム、東芝、NECのほか、サムスン、TIと数多い。(IBMやマイクロン、松下もFRAM開発を行っている。)
 しかし、MRAMと同じ不揮発性メモリだが、データを破壊して読み込むので(同時に書き込む必要がある。)、読み込み高速化は難しいし、信頼性の点でもメインメモリには向かない。にもかかわらず、人気が高いのは、フラッシュよりは書き込みが速く、消費電力が小さいからである。富士通の適応はスマートカードだったが、日本企業の狙いは明らかにケータイなどのモバイル製品である。

 現在のケータイはCPUのRISC・ベースバンドチップに、メインストレージメモリとワークメモリから形成されている。メインに64MのNOR型フラッシュを2個搭載し、ワーク用のSRAMを加えるのが標準的だ。高価なSRAMをFRAMに変え、フラッシュもNOR型から、プログラム化が速いNAND型に変えることになろう。
 日本が強いNAND型フラッシュとFRAMがすぐに直接競争することにはなるまい。

 といっても、FRAM浸透シナリオには、コストが十分下がるという前提が不可欠だ。新しいプロセスが加わるものの、大量生産に踏みきればコスト低下は間違いないが、密度を上げると従来のものとは異なりバラツキが発生しやすいから、コストは下げ渋る可能性もある。


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