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2003.3.10
 
 


DRAM産業衰退の元凶…

 DRAM市場の2002年シェアが発表された。(iSupplyの調査 http://www.siliconstrategies.com/story/OEG20030228S0008)

 トップ10社は、ほとんどが2桁から3桁%の売上増を実現しているのに対し、エルピーダは3割台の売上減少に見まわれた。DRAM撤退を発表した東芝のシェアは2%に達していない。
 日本企業の存在感は極めて薄い。

 DRAM産業における地殻変動はいまもって続いている。

 1位のサムソンは売上を55%増加させ、シェアも33%である。サムスンの膨大な利益に大きく貢献したのは間違いない。
 サムソン、マイクロン、インフィニオン、ハイミックスの大手4社で76%のシェアを占めており、勝ち組みがはっきりしたと語る人も多い。

 ・・・実は、こうした見方をするから、日本企業は衰退するともいえる。果敢な投資をした巨大企業に敗れた、という単純な理屈だ。
 膨大な資金調達と投資ができる経営環境だけで、事業の成否が決まると考えているのだろう。ということは、日本企業のかつての成功も、たまたま、そのような経営環境にあったから、ということになる。
 このように考える人が多いということは、日本企業には投資タイミングを考える力が無いといえるかもしれない。

 タイミングをはかるには、技術動向の洞察力が不可欠だが、その基礎力を失ってしまったのかもしれない。国の支援を受け、業界をあげて徹底的な技術開発状況調査を行い、将来展望を考える仕組みに慣れてしまい、自分の頭で将来を読むことができなくなってしまったのだろう。

 DRAM市場のシェア変動を読む姿勢に、こうした体質が垣間見える。
 大手の好調の裏で、新興勢力も伸張した点に注目しないからだ。対前年比売上が2〜3倍に達している企業がある。(Nanya Technology 153%増 、Winbond Electronics 268%増 、PSC 174%増)

 言うまでもないが、サムスンやNanya Technology(シェア第5位)の高成長の秘訣は、早くからDDR(Double Data Rate)にシフトした戦略にある。  常に先を見て走らなければ、利益が出ない産業であるのは昔からわかっていた筈だが。


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