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2003.3.22
 
 


FOMAのISDN化…

 2003年3月17日付けのWireless Weekによれば、CDMA Development Groupが、CDMA方式のケータイ加入者数が米国/カナダで6200万に達しており、全アメリカ地区のシェアは44%だ、と語ったという。全世界では、1億4700万だ。
(http://wirelessweek.com/index.asp?layout=newsat2direct&NewsAt2Param=SinglePage)

 一方、CDMAの競争相手のGSMは、圧倒的な普及を誇る。
 GSM Associationの2003年1月の発表によれば、世界での市場シェアは72%だという。2003年末から2004年年頭には、端末が10億台に達する見込みである。 (http://www.gsmworld.com/news/press_2003/press_02.shtml)

 しかし、第3世代で見ると、状況は一変する。
 GSM Associationも、流石に、「GPRS/W-CDMAへの投資が進んでいる」程度の発言しかできない。母国の欧州では、スタートが大幅に遅れており、第3世代の市場は開けそうにない。
 それに比し、CDMAは好調だ。先のCDMAの加入者数には、第3世代が3300万含まれている。この伸びに大きく貢献したのが、韓国と日本だ。

 日本国内を見ても、世界の先頭を走ると喧伝されたDoCoMoの第3世代ケータイFOMA(W-CDMA)の利用者を見かけない。DoCoMoは第2世代のPDCから抜け出せないままだ。
[2002年末で、DoCoMoグループのPDCは累計42,722,000、W-CDMA(FOMA)は累計152,000](http://www.tca.or.jp/japan/daisu/yymm/0301matu.html)
 ところが、KDDIはPDCを2003年3月で終了する。第3世代のCDMA2000 1xが着実に台数を伸ばしているからだ。発売後11ヶ月余で600万を突破しており、代替は急速に進んでいる。(http://www.kddi.com/release/2003/0307/index2.html)

 第3世代とはいうものの、FOMAもCDMA2000 1xも、通信容量はまだ小さく、実態から言えば2.5世代である。この段階で競争するのであるから、ユーザーは先を見て選ぶ筈がない。とりあえずは安価なものを選ぶ。いくら、「将来の主流規格」と喧伝したところで、高価なら、浸透できまい。
 巨大な投資を必要とするFOMAと、現行の仕組みを生かし、少ない投資で運用可能なCDMA2000では、価格競争にならない。
 CDMA2000の共存を認めた瞬間に、勝負は決したのである。

 しかし、これは、あくまでも第3世代の第一段階の話しである。この先のシナリオに合わせて、初期段階で、上手にウオーミングアップできるかが、将来を決める。
 そもそも、第3世代導入の意義は、データ通信との融合促進である。従って、インターネット接続を前提としたデータ通信端末用途を広げなければ、FOMA導入の意味はない。
 そう考えるなら、データ通信に適した料金体系は不可欠といえる。ところが、FOMAのデータ通信量当りの価格は高止まりしたままだ。これでは、将来性は全く感じられない。ソフト開発の魅力など無い。
 つまり、FOMAは相変わらず電話ビジネスなのである。

 このままなら、FOMAは、電話ビジネスに固執したISDNと同じ道をたどることになろう。おそらく、応用市場は開かない。
 そのうち、全IP化ケータイが登場し、ISDN同様のお荷物になる可能性が高い。そして、それまではCDMAにまかせるしかない。

 世界のリーダーと言われていた日本メーカーは、ISDNと特異なPDC規格へのお付き合いで、一挙にポジションを失った。FOMAで復活、の夢は悲願ともいえる。
 しかし、現状を見る限り、FOMAは希望の星どころでない。二度の悪夢では、終わらないかもしれない。


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