↑ トップ頁へ

2003.9.28
 
 


液晶TV大競争時代の幕開け…

 液晶TV市場が伸びている。このチャンスを逃すまいと、競争が激化してきた。

 DisplaySearchの調査によれば、2003年第1四半期の液晶TV(10インチ以上)の出荷台数は対前年比223%と急伸長したという。テレビ市場全体でみれば、1割に達しないセグメントだが、成熟市場が成長市場によみがえる可能性があり、魅力的であることは言うまでもない。
 市場シェアは、1位シャープが43%で52%からの低下、2位はサムスンで20%、3位のソニーは6%という。
 (http://www.displaysearch.com/press/2003/072903.htm)

 ・・・といった調査結果を聞いても、関係者以外には興味が湧かないだろう。

 しかし、この結果には注目すべき点がある。調査方法である。

 よく見ると、調査データが業界、業態を越えたものになっている。このことは、「業界」調査会社が、業界を跨いだ構造変化を意識するようになったことを示している。おそらく、このような調査は初めてだと思う。

 液晶「テレビ」とは言うものの、従来型テレビの薄型商品でしかないものから、パソコン用ディスプレー主体の商品まで、極めて幅が広い。両者の流通も別である。
 そのため、今までの調査での液晶TVは、家電の範疇が中心だった。ところが、この調査では、家電外を調査対象に含めた。消費者から見た「液晶TV」市場を分析するようになった、と言えよう。

 この調査結果が示したのは、従来型テレビで大型ブランドを持っていたメガ企業が、液晶TVでは主導権を失った状況といえる。

 しかも、これからは、パソコンメーカーが次々と液晶TVを販売し始める。
 今までは、それなりにパソコン市場が伸びていたから、パソコン業界は家電に入る努力をしてこなかった。しかし、市場が成熟すれば、パソコン業界が家電に注力し始めるのは時間の問題である。
 どうも、2003年末が開戦の年になりそうなのだ。

 すでにGatewayは液晶TVやプラズマTVを製品ラインに加えた。この分野を成長の柱と考えているようだ。
 (http://www.gateway.com/home/ce/index.shtml)

 さらに、この流れを決定付けそうなのが、Dellの動きだ。
 2003年9月25日、17インチの液晶TVをホリデーシーズンに合わせて販売開始する、と発表したのである。よく知られるように、パソコン市場で、大手メーカーを尻目に、一気に市場を席巻した企業だ。  家電市場でも同じパターンを狙うことになろう。

 Dellは、製品をモジュール化し、その最適構成と調達/組立/納入効率に関する技術で、圧倒的優位を誇ってきた。液晶TVは、パソコンで磨いた、これらの技術をそのまま生かせる。従って、安価で高品質な液晶TVを提供できる可能性は高い。そうなると、市場はDell商品になびくかもしれない。

 すでに、従来型テレビでは圧倒的に優位だった家電メガ企業も、液晶TVではポジションを失っているが、この流れがさらに加速されるかもしれない。

 いよいよ、家電とIT産業の間の壁が消滅する。家電産業の雄や、家電技術の蓄積を誇ってきた企業が、その本当の強さを問われることになる。
 家電のメガ企業の足元が狙われている訳だ。


 技術力検証の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2004 RandDManagement.com