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2004.11.8
 
 


国内工場投資への期待…

 中国が世界の工場と言われて久しい。

 工場を母国に残さないと競争力を保てないと考える人は多かったが、労働コストの差は大きく、雪崩をうって中国生産に移行したというのが実情である。

 単に、労働者が変わっただけではない。安価な労働力をできる限り使うような設計に変わることになった。

 それまでは、工数を減らし、組み立てしやすいような設計を追求していたのだが、そのまま続けていると競争力を失いかねなくなったのである。

 例えば、工数を増やす螺子をできる限り少なくするような設計方針では、面倒な工程になっても、螺子(ネジ)を増やして安価な部品を多用した方が圧倒的なコスト削減を図れるようになったのだ。
 品質管理にしても、安価な人による点検を適宜登用すれば、不良品の数は驚くほど減る。日本国内製より、圧倒的な安価を実現するだけでなく、不良率まで下げることが可能なのである。

 こうした安価な労働力を活用して生産する利点は、誰にでも思いつくが、その逆である、高い工賃でも戦える仕組みを考案するのはたやすくない。

 しかし、様々な挑戦が行われてきた。

 その代表的なものが、ベルトコンベアーを無くすセル生産方式である。

 質の高い生産部隊の力を生かすことで、競争力を発揮しようという方針だ。(1)

 この方式がすべての商品に生かせる訳ではないが、部品価格が高い上、製品開発コストが嵩み、コストのなかでの労賃の割合が低いなら、競争力強化に繋がる可能性もある。
 少量多品種で、頻繁なモデルチェンジが不可欠なら、いち早い新モデル上市、市場要求に対する生産の即時対応、という観点では、圧倒的な優位性を保てるからだ。

 とはいえ、本質的なレベルで競争するなら、高度な部品の内製と絡めたり、効率的な物流システムの力を生かす必要があろう。

 日本には、商品の機能や品質を厳しく要求するユーザーが存在するから、国内で生産拠点を持ち、技術力を生かして戦えるような体制を組むことで、競争力向上を図るような動きが王道だと思う。

 この方向をとるなら、高度な製品の素晴らしさを訴求することで、海外市場を席巻する覚悟が必要である。  そうした自信を持つ企業だけが、果敢な展開を図れる、と見てよいかもしれない。

 実際、国内工場投資を行い、さらなる前進を図る企業があらわれ始めた。

 約8万平米の床面積に、3,500名の従業員が働く、巨大工場が大分市で稼動する。
 2004年10月末には第一期が竣工、すべてが完成するのは、2005年3月だ。(2)

 このような動きが多発して欲しいものだ。

 --- 参照 ---
(1) 例 http://www.canon-elec.co.jp/aboutus/domain/lbp/flower/
(2) http://web.canon.jp/pressrelease/2004/oita2004aug.html


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