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2004.11.30
 
 


無理 無駄 無茶な技術…

 「自分の頭で考えよう」と呼びかけているのは、宇宙分野では有名な、ノンフィクション・ライター松浦晋也氏である。(1)

 航空科学者や、宇宙飛行士は自分達に都合の悪い話は語ろうとはしないし、ロケット分野の技術については限られた僅かな情報しかお目にかかれないから、ライターのコメントは貴重である。

 もっとも、そのような役割を果たしてくれるライターは滅多にお目にかかれない。専門分野のライターといえば、ほとんどは業界の提灯持ちというのが通り相場であるからだ。
 辛口の批判をしたり、内情を外部に知らせたりすれば、仕事を失いかねないから当然といえば当然ではある。

 とはいえ、松浦氏のようにリアリズムに徹すると、スペースシャトルの評価がどうなるかわかって、面白い。
 氏によれば、「明らかに大失敗作」である。当初の運行計画は年間50回だが、実際には最大年9回しかできないのだから、その通りだろう。

 そして、「失敗すべく設計されていた」と見なす。もちろん、以下のように、論旨は明瞭簡潔である。

 ・矛盾    最後の15分しか使わない巨大主翼打ち上げ
 ・無理    高圧燃焼主エンジンの再利用
 ・無茶    人間と貨物の同時打ち上げ
 ・人命軽視 打上げ初期は脱出不可能
 ・愚劣    再突入時に高温となる部位に開穴部
 ・無駄    タンクの使い捨て
 ・複雑    使い捨てと回収の同居

 しかし、そう考えたくはない人が大半である。

 国際宇宙ステーション計画が着々進んでおり、日本もその一翼を担っているとの話が囁かれているのが現実である。(2)
 当初の計画から程遠い状況なのに、決めた通りの宇宙ステーション計画を続けるつもりのようだ。

 この分野だけは特別で、状況がどうなろうと、方針見直しはしないことになっているのかもしれない。

 すでに、宇宙飛行も、お金を出せば可能な時代に入っている。

 宇宙飛行士を持ったところで、国威発揚になるとは思えないのだが。

 --- 参照 ---
(1) http://www.isas.ac.jp/ISASnews/No.282/shochu.html
(2) http://iss.sfo.jaxa.jp/astro/history.html


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