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2005.10.6
 
 


2007年はデジタル家電の勝負年

 フラッシュメモリが1年で2倍のスピードで集積度が上がっている。2005年9月12日、SamsungはNAND型16Gbitの開発に成功したと発表した。(1)

 NAND型は東芝・SanDisk連合が市場を切り拓いた、安価で大容量化に向くメモリだが、Samsungが果敢な設備投資と、細密化競争をしかけて過半のシェアを獲得していると言われている。
 今や、NAND型フラッシュメモリはDRAMに代わるテクノロジ・ドライバである。ロードマップ参照 (2)

 この開発スピードが続くなら、バイト当たりの価格は毎年4〜5割下がってもおかしくない。凄まじい価格低下である。
 家電製品やオフィス用情報製品は早晩様変わりすることになろう。

 現在でもフラッシュメモリーは結構安くなってきた。一昔前ではとうてい考えられない価格である。
 単純なUSBフラッシュメモリーで、1GB当たり¥8,000円といったところだろうか。(3)

 そこに、アップルのiPod nanoの4GBモデルが登場した。
 この機器には、サムスン製4Gbit素子が使われているのだろうが、小売価格は¥27,800。オーディオ機器だというのに、1GBで¥7,000円で、市販の単純なUSBフラッシュメモリー単価を下回っている。2GBモデルの¥6,000増しの価格設定だから、ここだけ見れば、1GBで¥3,000円。(4)

 メモリは単純な無品だから、機器メーカーは、ほとんど努力しなくても、1年後には8GBモデルをほぼ同じ価格で売れることになる。

 こんな流れが奔流化すると、ポータブル型の安価な製品から小型のハードディスクは駆逐されることになろう。
 そして、2007年ごろには数GBメモリ搭載の機器が、数千円で売られ始める可能性が高い。
 こうなると様々な応用が考えられる。
 市場は爆発的に伸びるだろう。

 当然ながら、この一方で、ハードディスクは大容量のメモリーとして、ポータブル製品の基地役として多用されることになろう。
 しかし、家電型のスイッチオンですぐ動く機器が求められているから、基本はフラッシュメモリーになると考えるのが自然である。ハードディスクは大量データの蓄積用に多量に使われることになる。

 こちらの流れもフラッシュメモリの安価化のスピードに上手く合いそうだ。ハードディスクはすでに十分安くなっているからだ。
 250GBハードディスクの小売単価はついに¥10,000レベルだ。(5)
 1GB単価が40円ということ。30GBで1,200円、5GBなら200円ということだ。
 この価格になれば、単なる記録なら、ディスクメディア記録より、ハードディスク記録が喜ばれるようになろう。たいして単価が変わらないのに、面倒な手順が必要で、保管管理もやっかいなディスクに頼る人が減るのは間違いあるまい。

 このような流れにどう乗るか、と言うより、どう流れを作るかで、家電企業の浮沈が決まることになりそうである。
 2007年が勝負年だとしたら、時間は余りない。

 もしも、今からどうすべきか考えるようだったら、自力展開は避けるしかない。もたもたしていれば、沈没は避けられないからだ。

 歴史の教訓をひもとけば、こうした緊張感が、イノベーションを生み出す筈である。

 --- 参照 ---
(1) http://www.samsung.com/PressCenter/PressRelease/PressRelease.asp?seq=20050912_0000192000
(2) http://www.semicon.toshiba.co.jp/prd/memory/nand/nand_top.html
(3) http://www.kakaku.com/sku/price/usbflash.htm
(4) http://store.apple.com/0120-APPLE-1/WebObjects/japanstore?family=iPodnano
(5) http://www.kakaku.com/sku/price/hddide.htm


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