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■■■ ジャータカを知る [2019.4.18] ■■■
[39] 禿鷹
禿鷲は死肉喰いなので死を不浄する人は嫌うことが多いようだ。

しかし、貴重な死体清掃役であり環境維持の観点では重要な役割を果たしているのは間違いない。超高空から死肉をいち早く見つける能力たるや度外れており、死肉がある限り他の動物を襲うことなど無いから、死者の魂を天界に運ぶ女神あるいはその使徒と考えるのは自然な流れといえよう。
それに加えて、輪廻観と因果応報を信じているなら、善き生まれ変わりのための最後の功徳として遺体を禿鷹に供す鳥葬を執り行うのも論理的帰結としては素直である。
古代から、インドには数多くの禿鷹が棲息していたのだし。
  ●エジプト禿鷲Egptian vulture/白兀鷲
  ●耳飾禿鷲Red headed vulture/K兀鷲
  ●印度禿鷲Indian vulture or Long-billed vulture/長喙兀鷲
  ●黒禿鷲Cinereous vulture/禿鷲

しかし、インド民衆の禿鷹に対する気分は、それよりは「ラーマーヤナ」に登場する鳥王譚だろう。・・・
老齢の禿鷹、ジャターユJatāyuとその兄サムパーティSampāti[アルナAruṇaとシュエーニーの子]
兄弟愛的なものを感じるが、インドは兄弟がそのまま残る大家族制度で、家長専制ではなく合議制だから、優先順位は1に兄弟、2に父母、3が妻子となる筈なのでわかる気がする。

ジャータカだが、禿鷹が登場する訳ではないが、墓地の場所話がある。そこで出てくる地名がVulture Peak。鳥葬ではなく火葬話だが。[#166]

登場話の方は、禿鷹の性情を踏まえたものになっている。

[#164]暴風に晒された禿鷹は豪商に命を助けてもらった。恩返しに、衣類や装身具を庭におとすことに。鷲は肉片を落とした。町衆は、モノが盗られたので禿鷹を捕らえ王に差し出す。何百時間もかかる地から遺骸を見つけ出す能力がある禿鷹は、自分流の方法で行っただけということ。商人は品物を返し落着。

[#381]傲慢な禿鷹王は、狩りに出るため集合命令を発したが子供が重病で来れない者がいて意気地なしと激怒し無理に参加させ倍の労働を言いつけた。帰宅すると子供は死んでいた。皆もらい泣き。王だけはさらのこの調子でさらに冷酷に。王に子供ができたが、子も同じ体質。自惚れがすぎ得意満面で危険な上空に飛び上がり体がバラバラに。王は、王子が命を投げ出して王の間違いを教えてくれたことに気付く。

[#399]猟師が禿鷹を捕えた。山の洞窟に親を迎えて養っていることを知り、その心根を思い解放。

[#427]数千を統率し、親も扶養する、圧倒的な力を持つ若き禿鷹王がいた。自信があるので遠くまで飛ぶので、父が限界を超えて飛ばぬよう諭す。しかし聞く耳持たずで強風域に入ってしまい粉々に。

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