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■■■ 今昔物語集の由来 [2020.11.22] ■■■
[附46] 仏像信仰
「今昔物語集」を眺めていて、気付かされることは少なくない。

往生譚と阿弥陀信仰についての記載が"限り無き"ほど多いのに、特定阿弥陀仏像への信仰についてはほとんど語られていない点もその一つ。📖阿弥陀仏信仰
観音菩薩像や地蔵菩薩像についての記載が多すぎるということもあるが、他と比較してもなんらか記載してもよさそうなものだ。

極楽往生祈願の場合、あくまでも称名が重要ということなので、それは当たり前のことかも知れぬが、後世のこととはいえ、みかえり阿弥陀像・鎌倉大仏・善光寺への参詣に人気があるのだから、もう少し取り上げていてもよさそうに思うのだが。・・・
  法隆寺(橘夫人厨子)@7世紀末
  広隆寺講堂@9世紀前半
  仁和寺金堂@888年
  清凉寺(旧棲霞寺)@896年
  平等院鳳凰堂@1053年
  法界寺阿弥陀堂@11世紀末
  浄瑠璃寺本堂@1100年前後
  中尊寺金色堂@1124-1187年頃
  三千院往生極楽院阿弥陀堂@1148年
  永観堂/禅林寺阿弥陀堂(みかえり)
  願成就院@伊豆大御堂@1186年
  浄土寺@小野浄土堂@1195年
  光触寺(岩蔵寺)@鎌倉@1215年
  高徳院(鎌倉大仏)@1252年
  善光寺本堂(三国渡来絶対秘仏)

ただ、仏像信仰は、安置場所が自然地形としての霊場だったり、寺創建の由緒も係ってくるので、そう簡単ではないが、すでに平安期に流行っていた漢音霊場巡礼同様の動きがあってもおかしくない気もするが、そんな動きにはなかったようだ。

考えてみれば、観音菩薩の場合は、そのようなお姿で現れ、どのような問題で救って下さるのかという霊験毎に、特定の仏像が有りうるという理屈は誰にでも納得の論理だから、満遍なき参詣や、特定祈願に最適な仏像を選択するという流れは自然な感じがする。余裕があるなら、示現に応じた参詣をしておこうと考える人は、おそらく少なくなかっただろう。
【観音菩薩】
 普門示現…//(八@上座部)/十五/三十三
  但し、三十三も存在していると、素人は複雑過ぎてよくわからない。📖京都の仏像拝観
  曼荼羅では33観音という訳ではないし。📖胎蔵曼荼羅[4]観自在菩薩

地蔵にしても、六地蔵と六道の関連はわかりやすいし、様々な現世に於ける救いもあるだろうから、そんな霊験がある仏像に詣でる動きが起きてなんら不思議ではなかろう。48という数字に特段の意味がある訳ではないから、同一パターンの巡礼に拘る人は少なかったのでは。
漢音霊場参詣とは違って、それぞれの生活環境に応じた選択がなされていたと見るべきだろう。従って、できる限り様々な地蔵像参拝の方が好まれていそうな気がする。
【地蔵菩薩】
 道(x8種)
 縁日(7月)
二十四
 
二十八種利益

一方、阿弥陀如来像になると、観音や地蔵に対する信仰感覚とは大きく違ってくる。個々の像のサイデンティティがどうしても埋もれてしまうからである。像というよりは、参詣で味わえる浄土観が重要となりそう。世俗感覚から離れた美しさや清浄さが求められるだろうから、観音霊場巡礼とは本質的に異なるといえそう。
【阿弥陀如来】
 四十八願(康僧鎧[譯]:「仏説無量寿経」252年正宗分)

霊場巡礼的な見方をして来たので、これ以外も取り上げておこう。・・・
何れも、いかにも後世的である。
【十三仏】
 追善供養十三法事…初七日(不動明王)+二七日(釈迦如来)+三七日(文珠菩薩)+四七日(普賢菩薩)+五七日(地蔵菩薩)+六七日(弥勒菩薩)+七七日(薬師如来)+百ヶ日(観世音菩薩)+一周忌(勢至菩薩)+三回忌(阿弥陀如来)+七回忌(阿如来)+十三回忌(大日如来)+三十三回忌(虚空蔵菩薩)
【不動明王】
 三十六童子
【薬師如来】
 中陰四十九

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