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■■■ 今昔物語集の由来 [2019.10.21] ■■■
[113] 元旦に猫登場
😹「今昔物語集」には猫は登場しないのかと思っていたが、ひょんな場所に記述がある。

往還譚としてのストーリー性、あるいは、地獄描写は今ひとつ盛り上がりを欠くというか、陳腐感を感じさせるが、大蛇、赤犬、猫となって息子の家に餌を求めてやってくるという点だけは目を引く。節日の御馳走を分けてもらえるということのようだ。
思った通り、歓待されるのは猫だけである。
  【本朝仏法部】巻二十本朝 付仏法(天狗・狐・蛇 冥界の往還 因果応報)
  [巻二十#16]豊前国膳広国行冥途帰来語
 豊前宮子[(現)福岡京都みやこ]の小領 膳広国の話。
 妻が死んで後、
 慶雲二年
[705年]九月十五日に死亡。
 ところが、三日後に蘇生。
 そこで、その体験を傍らの人に語ったのである。
 使いが2人来た。
 一人は髪を挙げ、もう一人は束ねた小子。
 付いて行くと2つの駅を経て河に。
 金塗の橋を渡りると、
 彼方に、面白い場所がある。
 使いに尋ねると"渡れる南の国"とのこと。
 そこには官人8人。皆、釼を佩た兵。
 その先は金の宮があり、入門すると王が居た。
 王によれば、妻が申すので召した、と。
 そして、妻も召された。
 見ると、鉄釘を頭頂に打ち込まれ額まで貫通している。
 鉄の縄で四肢が縛られ、8人係りで懸挙され登場。
 王は、妻であることを確認すると、
 罪を蒙っていることを知っているか広国に訊くので
 知らない、と答える。
 妻にも聞くと
 死んだ際、外出した夫を恨て愁へた、と。
 そこで、王は、広国は無罪で、速やかに帰宅せよ、と。
 さらに、もし死んだ父を見たいなら南方に行けとも。
 そこで、父を見ると、
 熱した銅柱を抱かされ、鉄釘37本が打たれており、
 朝昼夜、合わせて900回、毎日鉄の杖で打たれていた。
 そして、生前の罪をつらつら語ったのである。
 痛哉、悲哉であり、
 広国へ、造仏像・写経で罪苦を償ってくれと言う。
 父は死んでから畜生の姿で広国の家に行ったことも話す。
 七月七日には大蛇で。
 しかし、広国に、杖で懸て棄てられてしまった。
 五月の五日には赤犬で。
 これも、広国が、他の犬を呼んで打追われてしまった。
 おかげで、飢えることに。
 
正月一日には猫となった。
 この時は、飯や種々の味物を与えてもらい満腹に。
 これが3年分の粮だった。
 生前の行為で赤犬になってしまうのであると語る。
 そして、布施の功徳も示す。
 米一升はここの30日分の食物と言った具合に。
 読経、造菩薩像、持斎についても。
 広国、こうして、善悪の業の所報を見てから
 恐々る大橋まで返り来たのである。
 守門の者がおり、一旦入門したら出せないと言うが
 小子が出てくると、跪て礼す。
 小子は脇門から出してくれ、速やかに行け、と言う。
 どなたかと問うと、
 広国幼稚の頃、写し奉した観世音菩薩であると。
 そうこうするうち生き返った。
 ・・・このように一部始終を語ったのである。
 広国はこの体験談を記録して、世間に広めた。
 そして、父の罪を贖うため、造仏像・写経・三宝供養。


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