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■■■ 今昔物語集の由来 [2020.6.16] ■■■
[352] 三輪高市麻呂
三輪山麓を本拠とした意富多多泥古を租とする氏族は、三輪高市麻呂の時代の684年に大神氏の姓を賜った。改賜姓五十二氏の筆頭である。
  【本朝仏法部】巻二十本朝 付仏法(天狗・狐・蛇 冥界の往還 因果応報)
  [巻二十#41]高市中納言依正直感神語
 持統天皇代のこと。[在位:690-697年]
 中納言 大神高市麿
[657-706年]
 生まれつき正直だし、分別をわきまえたお方。
 漢文を学び、諸々の道にも明るかった。
 と言うことで、天皇はこの人に政務を任せておられた。
 そこで、高市麿は国を統治し、国民を哀れんだ。
 そうこうするうち、
 天皇は、遊びに、狩猟で伊勢への行幸を言い出し
 「速やかに準備せよ。」と勅命を下した。
 しかしながら、その時期が三月。
 高市麿、奏上。
 「その時期は農業繁忙期。
  伊勢行幸は、民を煩わすことになりかねません。
  従って、行幸されるべきではありません。」と。
 天皇、この言に従わなかった。
 「猶さら、行幸致す。」と勅を下した。
 高市麿は、尚更に、重ねて奏上。
 「猶さら、この行幸はお止めになるべき。
  今は農繁期の盛り。
  田夫の憂いはただならぬものになりましょう。」と。
 これで、遂に、行幸は中止に。
 民は際限なきほど喜んだのだった。
  
   (692年自らの官職をかけて行幸を諫めたと伝わる。中華帝国なら即刻処刑だが。)
 ある時、国中が旱魃に襲われた。
 すると、この高市麿は、
 自分の田には、取水入口を塞いで水を入れず、
 百姓の田に水を入れさせた。
 水を他人に施したため、自分の田は枯れてしまった。
 このように、我が身を棄て、民を哀しむ心があった。
 このことにより、天神に感じる所があり、龍神が雨を降らせた。実
 但し、雨が降ったのは高市麿の田だけで
 他の人の田には降らなかった。
 これは、ひとえに真実の至心ということで、
 天が感じて守を加護されたということ。


尚、この譚は巻二十の巻尾グループに属す。ここは【本朝仏法部】の最後でもあり、補遺的に詰め込んだ一群かも知れない。・・・
《_1〜14天狗》
《16〜19冥界》
《20〜40悪報:転生現報》
《41〜46他》

  [41] 高市中納言依正直感神
  ⇒「日本国現報善悪霊異記」上25忠臣小欲知足諸天見感得報示奇事
  [42] 女人依心風流得感応成仙📖仙境
  ⇒「日本国現報善悪霊異記」上13女人好風聲之行食仙草以現身飛天
  [43] 依勘文左右大将可慎枇杷大臣不慎📖枇杷殿
   出典不詳
  [44] 下毛野敦行従我門出死人📖下毛野朝臣
   出典不詳
  [45] 小野篁依情助西三条大臣📖小野篁
   出典不詳
  [46] 能登守依直心息国得財📖漂着犀角
   出典不詳

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