→INDEX

■■■ 「古事記」解釈 [2022.4.4] ■■■
[458]隠岐の島について
"天之○○"が常套用語であるということで、どのように収録されたのか眺めてみたが、之を欠落している場合は、どのような意味があるのか気になった。渡来神伝承を持たない海神信仰の島だが、渡来神に帰依するようになったと云うことか。
  -大八嶋國-
  隠_岐=天之忍"許呂"別 【隱伎之三子嶋】
  壱_岐=天比登都柱   【伊伎嶋】
  対_馬=天之狭手依比賣 【津嶋】
  大倭豊秋津島=天御虛空豊秋津根別 
📖天の概念を熟考していそう  -六嶋-
  女_嶋=天一根
  知訶島=天之忍男
  兩兒嶋=天両屋

このママ読めば、隠岐は知訶島に来訪した神の傍流で、鹽から島が生まれる手の国土生成譚を伝承していたことになりそう。<天照>天孫系は女系で祖神は天に上って以後降臨していないから、(出雲國之伊賦夜坂)⇒[誕生]竺紫日向之橘小門之"阿波岐"原⇒天之比賣嶋⇒高天原と繋がる航路の存在を示しているようにも映る。
さらに、隠伎之三子嶋が天之忍"許呂"別とされているが、前者の"之"の用法も気になる。隠岐列島の最大の島を親として、その隣の陥没カルデラから生まれた3島を子としていると考えるしかないが、この記載では子の方だけを意味しているとは思えず、列島全体の総称として"三子嶋"としている筈だから。
・・・島前3島(知夫島/智夫(千波)+西ノ島/向之島+中ノ島/天之島/海部)+島後1島/役道(穏地)&周吉の計4島と微細な島々からなる。
つまり、ここに於ける"之"の用法は"="ということに。そのような用法があっておかしくないのが、"之"文法ではあるものの、わざわざそのような記載にする意義がなさそうなので、怪訝な気分を味わされる。もちろん、1-2-3の面白さ発揮のための表現でそうなっているのではあるものの。

隠岐は、姫島同様に、貴重である黒曜石の産出地であるから、金属器出現以前の枢要な地であり、知夫島⇔出雲航路が古代から完備していたのは間違いない。([「出雲國風土記」嶋根郡千酌浜]此則所謂度隠岐国津)
だからこそ、稲羽素菟譚でも淤岐島が登場してくる訳だ。
言うまでもないが、隠岐は南の海神の娘と同じ、鰐トーテム族の地であることを示していることになる。尚、これからすると、出雲から見た隠伎=沖の島ということになろう。

 (C) 2022 RandDManagement.com  →HOME