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■■■ 「古事記」解釈 [2023.9.15] ■■■
[807] 太安万侶:「漢倭辞典」体言noun
ブツ切れになってしまった📖理由は、主語表記問題ありを指摘した三上文法論に触れる必要がありそうと考えただけではない。
白川静流の考え方を持ち出すべきか📖、迷ったからでもある。

結局、多々書くことにしたが、どちらも「古事記」理解には必須と思われるので致し方ない。

白川静論で画期的なのは、文字構成要素としての祝詞容器の指摘。📖
・・・その同定に明々白々たる考古学的証拠がある訳では無く、半ば強引な点が秀逸と云えよう。ところが、その意義がわからない分析学問家は半端な数でおさまらない。ソリャ―そうだろう。牽強付会多過ぎで、考古学的証拠があるでも無いから、不快極まるのはよくわかる。
さらに、白川礼賛本では、「説文解字」の見方をそれとなく同居させたりしているから、その反撥姿勢がますます硬直化して当たり前。本来なら、「説文解字」の見方は間違い多しという指摘こそが核心に触れる点であったにもかかわらずだからだ。(「説文解字」の原初漢字とは帝国化完了時点のもの。それと、各種異体字を包括的に整理して、当代文字と比較し、俯瞰的に見ながら由来を推測した書。ところが、帝国官僚によって規格化された漢字は、その原初甲骨文字のデザインが必ずしも踏襲されておらず、間違った見方が少なくないという点が学問上のミソ。)

学問的業績云々には興味はないが、文字とは神との交流用の呪記号であり、漢字の発祥はソコにあるとの指摘は画期的である。
当然ながら、それは漢字に留まらない筈。神々の所業を描く天竺の聖典="口誦"叙事詩の、聖なる音の確定の為に生まれたのがサンスクリット文字だし、それに触発されたアルファベットにしても、聖典の中味を正確に伝えるための現地話語の文字化が出発点なのは昔から知られていた訳で。
今では、当たり前の指摘に思えるが、そうは考えたくないという姿勢の世の中に対し、白川静がガツンと一撃の図。

白川静の考え方を援用すれば、先ずは、古代の宗教観が言語に反映しているとして検討して行くのが真っ当な姿勢ということになろう。それを欠いた分析だと、精緻化すればするほど枝葉末節化になりかねないことを意味するとの警言でもあろう。
おわかりだろうか。

要するに、公言していないだけで、屈折語・孤立語・膠着語の分類とか、SVО的語順の違いとは、表層的な分析の可能性が高いということ。その違いを生み出した、もっと本質的差異がある筈ということに尽きよう。実際、明確に区分できていそうに映るが、実態を見ればゴチャだし。それに、相互の影響もただならぬものがあるのは自明。

・・・そこらを、どう書くべきか迷ったが、太安万侶が見た漢語を想定すると、色々と見えてきそうなので、軽く触れておこう。

"1拍音📖"をそんな観点で考えると言っても、難しそうに映るが、要は活用語中心のシンプルを旨とした言語と見るだけの話。言うまでもないが、漢語では活用表現など不可能であり、名詞中心の構文にならざるを得ない。
その<名詞>を例にとって、「古事記」倭語発想で素直に分類してみると、こんな具合になろう。倭人の宗教観を入れ込むとはこの様な見方を云う。当たり前だが、これが正しいかどうかを議論しても意味は薄い。(尚、倭語は漢語と違って動詞言語なので、<名詞>分類にはそれほどたいした意義はない。)

【活用語彙+関係不活用語彙】(叙述部)
【不活用従属語彙】
🈩≪一般名詞≫
   -自明な意思体-
   ❶神や人 (…倭的"人格"名詞)
   -見えない宿る神在り系-
   ❷漠然体
   ❸個別識別可能な者/物[単体〜集合体]
   -無神系-
   ❹抽象概念† (†:不可算名詞@関連現代文法用語)
    ①観察分析結果の概念
    ②コミュニケーション上の概念(コト etc.)
    ③概念化情緒
    ④⇒≪特徴付加抽象概念詞≫
      (…事実上普通名詞の対偶@関連現代文法用語)
       冠[尊称的限定詞] (…定・不定の表記詞@英文法用語)
       性情詳細化詞[数量・時/方向 etc.]
   ❺⇒≪状況形容的名詞 *≫
🈔⇒≪代理簡略化名称*/総称≫
      (*:人称代名詞 指示代名詞 疑問代名詞 関係代名詞 再帰代名詞
          相互代名詞 不定代名詞 否定代名詞 etc.@関連現代文法用語)

🈪⇒≪特定称号≫ (…固有名詞)
【不活用従属語彙の補助的辞】
  ≪位置付け表示の語尾辞[助詞]≫
  ⇒≪語尾辞対応語頭辞≫
【不活用独立語彙】

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