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■■■ 「古事記」解釈 [2024.4.18] ■■■
[862]読み方[32]
「水鏡」の一瞥をお勧めしているのは、「古事記」に触れていると、それなりの気付きが得られるから。
その11番目。・・・

たいした問題ではないといえば、その通りだが、レガリアが全く異なる状況なのには驚かされる。
起源は必ずしも定かでは無いものの、現代の皇位継承の儀で、以下の三種の神器が儀式の核を形成している状況にもかかわらず、そうとは思えない記述になっているからだ。
  八咫鏡…@伊勢神宮内宮⇒[レプリカ]@宮中三殿賢所
  草薙剣…@熱田神宮⇒[レプリカ]@皇居-剣璽の間
  八尺瓊勾玉…@皇居-剣璽の間

  📖レガリア語らずの意味

「水鏡」では、八尺瓊勾玉の存在に触れていないだけでなく、剣と鏡がそれぞれ3体存在するとされており、「古事記」とはレガリアの概念が違うように見受けられる。

【第一代】神武天皇
神代より傳はりて、劔 三つあり。
  一つは石上布留の社にます。
  一つは熱田の社にます。
  一つは內裏にます。
又 鏡 三つあり。
  一つは大神宮におはします。
  一つは日前におはします。
  一つは內裏におはします。內侍所にこそおはしますめれ。

「古事記」記述で、「水鏡」的レガリアとして意味ありそうなのは以下。・・・
≪伊邪那岐命 斬迦具土~之頸≫
  十拳劒/天之尾羽張/伊都之尾羽張
≪速須佐之男命 切散八俣遠呂智≫
  十拳劒
  都牟刈之大刀/草薙之大刀/草那藝劒
   ⇒天照大御~⇒邇邇藝命⇒伊勢⇒倭建命⇒【熱田】
≪~倭伊波禮毘古命 布都御魂≫
  横刀/佐士布都~/甕布都~/布都御魂
   【石上布留】の社
≪天石屋戸譚≫
  八尺鏡
   ⇒(我御魂@降臨)⇒【大神宮】
≪邇藝速日命獻天津瑞≫
   n.a.

布都御魂は吉野・熊野勢力平定とそれによる大和地区侵攻には絶大な力を発揮した、天降の宝刀ではあるが直接皇統と関係しているとは言い難く、物部勢力の~を祀っているとも思える【石上布留】の社の神宝と考えた方が自然だろう。
その点では、皇位に即かなかった倭建命の草那藝劒も似てはいるが、もともとは速須佐之男命由来で天照大御神に奉上された宝であるから皇位継承のレガリアとしては十分な意味を有している。この他に、もう一刀があるとされているが、レガリアたるのは伊邪那岐命の天之尾羽張ということになろうが、それが初代天皇の所に伝わった形跡はない。

一方、鏡も3柱あることに。「古事記」を読む限り、八尺鏡以外にあり得ないから、3つあったのか、別途、天降り2つがあるのかしかあり得まい。
「水鏡」では祀られている場所が記載されているので、その由緒を見ると、八尺鏡は3つ作られたことになっているようだ。・・・
【日前】@「神祇寶典」八
日前~社…紀伊國名草郡
  @日本紀一書 天照大神之御靈
  @舊事紀
(國懸~社)
  @大倭本紀 天照大神之幸御䰟(天降来三面の1つ)
複数製造されようが、天岩屋戸で使用されたのが1つなら、それだけがレガリア。当たり前のことで、残りはレプリカだから、3柱を並べる天降儀式は考えにくい。
そうなると、これは邇藝速日命が天孫IDとして保持していた大和地区の旧レガリアと考えるしかあるまい。天皇家の皇統とは別だから、当然のこととして、外部で祀られることになろう。


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