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■■■ 「古事記」解釈 [2024.6.8] ■■■
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葛城の話をしてきたが、どうお感じになっただろうか。(内容はどうでもよい。我々の住む世界は、大御所の言説紹介が愉しい人だらけで、それに与しない人は住みづらいことを認識しておいた方がよいというだけのこと。この観点での、ご自分の立ち位置を確認できればば十分。)

もしも、なんとなく、色々と気になって来たとしたら、掘り下げたりせず、通説の線に沿って解釈することをお勧めしたい。これ以外にあり得ないと確信している人達だらけのなかで、議論は無用。

例えば、日本の神話は北から来た垂直軸と南の水平軸の混淆といった類の解説をよく見かけるが、通説臭いならそれに乗ること。小生の見たところ、そんなことは「古事記」のどこからも読み取れないから、議論したいなら、わかる人が集まるサロンで笑い話として語り合うのが良かろう。

ついだから、書いておこうか。

始祖神話の肝は祖がどの様に生まれたか。その後、どの様に渡来するかは、誕生後の経緯で様々に変わるので二次的。倭の祖の生まれ方を見る限り、大陸北方の伝承譚との類似性皆無。(だからこそ、赤玉から誕生する、朝鮮半島神話が唐突に紹介されているとも言える訳で。)そして、最大の特徴は、祖から先の系譜は、地場の女性の元に、貴人が外部から訪れて成り立つ"神婚"で進んでいくとの、極めて強固な観念。それに付随するのが、貴人社会は姉妹婚との通念。
(尚、「古事記」神統譜-皇統譜の註記で祖が記載されている氏族の、別途伝承なるものは、「古事記」読みに、参考の価値無し。)

【付言】「古事記」読みで目指すべきは、≪全体を俯瞰した上で、直観力を研ぎ澄まして、その内容を"概念的に"把握する。≫こと。
素人の場合、無知の領域に足を踏み入れるのだから、最初は最低限の知識をママ取り入れざるを得ないが、それは早々に切り上げ、気になった点やよくわからない点の検討に時間を割いた方がよい。と言っても、安直な方法は無い。受験勉強巧者の、徹底した手抜きで最低ラインでの合格を狙うようなもので、それが苦手な人だと大変な目に遇うかも。
次ぎに、レビュー類にザッと目を通す。すぐに、全般がわかった気になるもの。ここ迄を、できる限り時間と労力をかけないで通過できないなら、自力「古事記」読みは諦めた方がよいかも。
この段階を通り過ぎたら、原文に沿って、逐一目を通して行く。それぞれの箇所ごとに解題的な論調が見つかるから、適宜触れてみるとよい。この場合重要なのは、どれだろうと、「古事記」の一部を対象にした分析的解釈である事を忘れないこと。(優れた論説や、素晴らしく切れるモノの見方に映ることもママあるが、それにたいした意味無しとの姿勢で臨むという意味。)ここは、ある程度の時間が必要となる。論説の玉石混淆状況というか、大部分を占める知的刺激を与えない手のものと、意味ある主張が含まれているものの仕訳ができるとの自信を身に付ける必要があるからだ。この段階に至れば、それなりの分析力が備わっているということになろう。
但し、この力に磨きを掛けようとは思わないこと。いくら注力したところで、「古事記」読みの能力は向上するどころか、逆走しかねないからだ。ここが肝要なところ。
ここで初めて出発点に立ったことになる。
言うまでもないが、この先は自分の頭で考えることになる。"概念的把握力"がモロに係ってくるため、全く何もできない人もいようし、飛躍的に色々な気付きを得る人も。・・・駄目なら諦めるしかないが、それが自覚できることだけでも大きな価値がある。言うまでもないが、訓練してどうにかなるものではない。



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