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■■■ 「古事記」解釈 [2022.12.15] ■■■
[歌鑑賞73]高光る日の御子諾こそ
【建内宿禰】雁卵問への答
多迦比迦流たかひかる 比能美古ひのみこ 宇倍志許曾うべしこそ 斗比多麻閇とひたまへ 麻許曾邇まこそに 斗比多麻閇とひたまへ 阿禮許曾波あれこそは 余能那賀比登よのながひと 蘇良美都そらみつ 夜麻登能久邇爾やまとのくにに 加理古牟登かりこむと 伊麻陀岐加受いまだきかず
⑫(5-4)-(5-5)-(4-5)-(5-6)-(4-7)-(5-6)

    於是
    建内宿禰以歌語白

高光る  輝かしく光を放つ 📖「古事記」が示唆する枕詞発生過程
日の御子  日の皇子(であらせられる大王)
諾こそ  よくぞ
問ひ給へ  お尋ねくださいました
真こそに  真に
問ひ給へ  ご質問頂き(有難き次第)
吾こそは  吾こそは
世の長人  (確かに)この世では長寿ですが
そらみつ  空から見て(素晴らしい)
倭の国に  この倭国に於いて
雁卵生と  雁が卵産んだとは
未だ聞かず  未だに聞いたことがございません

大雀命/⑯天皇への尊称句で始まる。
中巻最後で吉野之國主により"品陀の日の御子 大雀 大雀・・・"と歌われるが、それより格上の、最上級用語と見てよかろう。
この手の表現は倭建命と大長谷若健命にしか用いられておらず、日本国を作り上げたという観点で、大きな功績がある天皇とされていることになる。
ただ、"知りませんナ。"との答えを除けばこの歌は、臣下としての誇りの表出でしかなく、中味は何も無いに等しい。
真面目一方で、なんの面白味もない返歌とも云えそうだが、それを省略せず収録したことが、実に秀逸。

新時代を切り拓く天皇からのご下問に、思った通りの旧時代的な対応がなされたことが、ハイライトということ。

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