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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.1.7 ■■■

鼻茸手術

805年のこと。
鼻息肉/鼻茸/Nasal polypを患う少女が簡単に切除してもらった話。
それにしても、商売上手だと、百姓の資力はたいしたものであることがわかる。娘を治すために使った金額は膨大。でも、ずっと、治せなかった。・・・

永貞年,東市百姓王布,
知書,藏千萬,商旅多賓之。
有女年十四五,艷麗聰晤,
鼻兩孔各垂息肉,如p莢子,其根如麻線,長寸許,
觸之痛入心髓。
其父破錢數百萬治之,不差。
忽一日,有梵僧乞食,因問布:
 “知君女有異疾,可一見,吾能止之。”
布被問大喜,即見其女。
僧乃取藥,色正白,吹其鼻中。
少頃,摘去之,出少黄水,都無所苦。
布賞之白金,梵僧曰:
 “吾修道之人,不受厚施,唯乞此息肉。”
遂珍重而去,行疾如飛,布亦意其賢聖也。
計僧去五六坊,
復有一少年,美如冠玉,騎白馬,遂扣門曰:
 “適有胡僧到無?”
布遽延入,具述胡僧事。
其人嗟不ス,曰:
 “馬小足,竟後此僧。”
布驚異,詰其故,曰:
 “上帝失藥神二人,近知藏於君女鼻中。
  我天人也,奉帝命來取,
  不意此僧先取之,吾當獲譴矣。”
布方作禮,舉首而失。

  [卷一 天咫]

突然、僧侶がやってきて、治療。全快。

鼻孔中のポリープだから、局所麻酔下で1時間もかからぬ手術で切除、が現代の治療。1週間程度で回復する人が多いようだから、鼻の粘膜回復スピードは速そう。
唐代は、治せる専門家は滅多にいなかったようだが、手法的にはできないことはなさそう。ただ、道教的発想だと嫌われそう。

鼻炎等の炎症で発生することが多いようだから、アレルギー反応によるものだと思われる。
治療にあたった僧侶はその辺りを知りたいため、切除した部分を頂戴したのでは。
アレルギーの酷い人へのアレルゲン減感作的に、切除部分に存在する刺激物を使えないかと考えたのかも知れぬ。

追っかけてきた若造は、その辺りの事情がらみか。

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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