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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.4.5 ■■■

鳴天鼓

天鼓の話が収録されている。・・・

夫學道之人,須鳴天鼓以召衆神也。
左相叩為天鐘,卒遇兇惡不祥叩之。
右相為天磬,若經山澤邪僻威神大祝叩之。
中央上下相叩名天鼓,存思念當道鳴之。
叩之數
三十六,或三十二,或二十七,或二十四,或十二。

  [卷十一 廣知]

天鼓という語彙は、ついつい天の大鼓と考えてしまう。・・・
天鼓,有音如雷非雷,音在地而下及地。
  [「史記」卷二十七天官書第五]
一般には仏教用語と見なされているようだが。・・・
天雨曼陀華,天鼓自然鳴 
  [「法華経」序品一]
利天之善法堂,有鼓,不撃而自發妙音者。
  [佛學大辭典 1922年]

しかし、道教では按摩のような修養法をさすらしい。もちろん、現代でも通用する。・・・
両手掩耳,
即以第二指壓中指上,用第二指弾脳后両骨做響声,
謂之鳴天鼓

  [「頤身集」1852年]

聴力器官は腎と連関しているというのが、中医のコンセプトなのだろう。
従って、耳に刺激を与えて活性化させると腎気の衰えを防止できるので、老化せずと考えるようだ。
現代のツボの名称では"風池"(頚椎と耳間の窪んだ箇所で、頭蓋骨に接する辺り)〜"玉枕"(枕骨)にあたるようだ。耳を掌で塞いで、この部分を軽く叩くので、太鼓のような音が聴こえるのであろう。
朝昼夕9叩きだと、27という数字になるが、どんな時間に何回かは、様々な推奨の理屈があるのだろう。

ただ、唐代の場合、耳ではなく、叩齒法のようである。・・・
叩齒之法,
左左相叩,名曰扣天鐘;
右右相叩,名曰槌天磬;
中央上下相對相叩,名曰鳴天鼓
 :
叩齒雖一,
其實有左右上下也。
故凶惡而畏天鐘之音,
山神而懾天磬之動,
招神而肅天鼓之震

  [「太微帝君二十四神回元經」]
成式は「叩齒法」については信じていないから所収したのではなかろうか。[→]

(参照) 易宏:「叩歯略考」弘道(52)2012年第3期
(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.


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