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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.7.21 ■■■

アルコールの影響度

飲酒の影響を読むのは、そう簡単なことではない。
アルコールによって、血管が膨張するか収縮するかは一概に言えないし、血流ポンプとしての心臓の動きを活発にさせるのか、静かにさせるのかもなんとも言い難いからだ。

しかし、そうは思わない人の方が大多数である。
それは、ほとんどの人が酒が入ると脈拍が上がるからだろう。
(理科の考え方なら、アルコールの影響で"血圧が下がり"、血流増加の活動が始まったと解釈できる。
ちなみに、ニコチン摂取も脈拍を上げることが知られている。この結果、"血圧は上がる"。)

現代生理学では、この影響の大きさは、アセトアルデヒド脱水素酵素能力で決まるとされている。この酵素の働きが遺伝的に弱いと、顔が赤くなり、"血圧低下も顕著"で、脈拍も大きく増加することになる。もちろん、全く逆の人も少なくないのである。

これについては、そんなこと知っているゾと言う人だらけだが、そのような人に血圧の常識を伺うと、今度は、アルコールを飲みすぎる生活をしていると"血圧が高くなり"脳溢血の可能性がでてくるから注意した方がよいと宣う。
短期と長期の違いとか、つまみの塩分摂取が理由とか、理屈はどうにでもなるが、影響をどうとらえるかは簡単ではないのである。

それを踏まえて読むと面白いかも知れぬ。・・・

飲酒者,肝氣微則面青,
心氣微則面赤也。

脈勇怒而面青,骨怒而面白,血勇怒而面赤。
   [卷十一 廣知]
酒を飲んで、肝気が微弱だと、顔色は青っぽくなる。
一方、心気が微弱だと、顔色は赤っぽくなる。
脈が速くなりドキドキしてきて、
やがて顔が青ざめてくると、
骨がガチガチし顔面蒼白に。
血液循環が猛烈になり、ついには顔面真っ赤っ赤に。


【定かではない注】
肝気は怒的心理状態を指す。つまり、肝臓から発するものではなく、俗に謂う"肝っ玉"の方から。つまり癇癪の性ということで、神経が昂っているか否か。
一方、心気は心臟功能的強弱。心気不足であれば、血圧は低下する訳である。

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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